亀井静香氏と激論を交わした石原慎太郎氏
アメリカンのドナルド・トランプ大統領が、日本を標的にした“口撃”を繰り返している。日米貿易摩擦がピークであった1989年、石原慎太郎氏(84)は『「NO」と言える日本』(盛田昭夫氏との共著)を上梓し、アメリカ相手に日本の立場を堂々と主張した。同書は英訳され、「日本は何を言っても黙っている」と思っていたアメリカ人に大きな衝撃を与えた。なぜ、あのときのように誰もはっきりトランプに物申さないのか。
石原氏が、トランプ大統領誕生をいち早く予言した盟友・亀井静香氏(80)とともに、再びアメリカに「NO」を叩きつけた。2人が語り合った。
亀井:トランプのアメリカと対抗しようと思えば、日本は国家としてまとまってぶつからないといけない。ところが、日本のレゾンデートルが失われるような事態が進行している。天皇が自分の意志で退位できるようにしようとしている。これは国家の崩壊です。
石原:続けるべきだと?
亀井:そう。これは運命なんだから。体が弱ったから、高齢だから、退位できるようにしてあげようというのが国民の意志だというのは承知しています。しかし、天皇、あるいは皇室の恣意的な感情で天皇が交代できるようになったら、天皇制は持たなくなる。
石原:確かに、企業の社長の交代とは違う。こういう言い方は非情で失礼に当たるかもしれませんが、天皇陛下には「死してのち已(や)む(命ある限り続ける)」であっていただきたい。
亀井:それと、(平成31年の)元日に合わせて元号を変えるって話も出てきたでしょう。これは(西洋の暦に合わせた)新暦ですよ。新暦に合わせて元号を決めるなんて馬鹿なことがあっていいわけがない。
石原:昭和天皇も、崩御されるまで天皇だった。今でも覚えてるのは、(昭和63年5月の)最後の園遊会。竹下内閣のときだったけど、昭和天皇が辛そうに歩いていて、私の前でよろけて転びそうになったんだよ。
心配になって駆け寄って支えようとしたら、竹下さんが止めるんだ。「玉体に触れちゃ駄目だ」って。あのとき、昭和天皇は息も絶え絶えに「皆が私の健康を心配してくれて、ありがとう」とおっしゃってお帰りになられた。「死してのち已む」でした。
亀井:陛下の公務を軽減して、皇太子殿下が代行すればいいんです。日本の軸が揺らいで、どうしてトランプに対抗できるんですか。
※週刊ポスト2017年2月17日号