センター試験が行われた翌日、新聞に「センター試験、タクシーで受験生送る」という見出しで、こんな記事が載った。要約するとこうだ。
1月14日朝、JR函館線の旭川発札幌行き特急スーパーカムイ10号が車両の不具合で運休し、JR北海道は滝川駅からこの特急で大学入試センター試験に向かう予定だった受験生7人を、タクシーで岩見沢市の試験会場に送った。 JR北海道によると、旭川市の旭川運転所で14日午前7時35分頃、信号機のトラブルが発生。
特急に乗る予定の受験生がいないか各駅の構内アナウンスで呼び掛け、滝川駅で7人が申し出た。 同社は後続列車では間に合わないと判断。タクシーを手配し、午前8時25分頃から順次、試験会場に送った。いずれも試験開始時間に間に合ったとみられるという。列車の料金は払い戻さず、タクシー代はJR北海道が負担した。
JR北海道の「神対応」はどうして実現したのか。滝川駅関係者はこう説明する。
「センター試験に限らず、公立高校や私立高校の受験日は把握し、何かあった時には対応できるよう、日頃から話し合っています。当日は朝5時から待機して、線路の除雪を徹底的に行うなど受験生がスムーズに移動できるように尽力するんです。この時は、復旧に40分ほどかかるとわかったので、受験生がいるかをアナウンスで確認し、タクシー輸送を決めました。めったにないことですが…」
◆美談から一転 大ブーイングのワケ
これまでも、受験会場に向かう途中で乗り間違いに気がついた親子のために新幹線が臨時停車した話や、吹雪で電車が止まり、300kmの道のりをヒッチハイクして合格を勝ち取った親子の話など、人生に一度ゆえのお受験仰天話はたくさんある。
今年も心温まるいい話が聞けてなにより──。誰もがそう思っているだろうと思いきや、インターネットの掲示板やツイッターではまさかの炎上が起きていた。
「そもそも、交通機関の遅れで遅刻するような人は自己責任だからその時点で不合格」
「受験生だけ特別扱いはおかしい。飛行機が8時間遅れた時だって、タクシー代は出なかったのに…」
交通機関の振替輸送について、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんが解説する。
「JRの規定では、切符を買った区間を別の方法で送り届ける義務があるとなっています。通常は他の鉄道やバスで輸送しますが、今回は他の手段がなかったので、タクシーを使ったのでしょう。さらに、特急列車の乗客は優先して輸送されると規約にあることや、原因がJR側に責任があったことも一因です。かなりイレギュラーな対応といえます。東京メトロなどは、タクシー輸送は実施しない規定をもうけています」
他の交通機関は、どうだろうか。梅原さんが続ける。