現在、時価総額ランキングの上位に入っているアメリカ企業の多くは「ダッチサンドイッチ&ダブルアイリッシュ」などの節税対策によって利益の9割前後を海外に持っていってしまっているので、それを許さず海外の部分にもアメリカ国内と同様の課税をして正当な税負担をさせるようにすべきなのである。
トランプ大統領は法人税の最高税率を35%から15%に引き下げるという公約を掲げているが、法人税率は引き下げずに“世界連結決算”でアメリカに税金を納めさせ、「隠れる場所は世界中どこにもない」という制度にするのが正しいと思う。
そしてその税金でもって、食いっぱぐれている「プア・ホワイト」と呼ばれるトランプ支持層に対し、ICTや金融などの分野で21世紀用のスキルを身につける再教育を施し、彼らが食えるようにすればよい。プア・ホワイトの大半は、成長しているICT企業や金融企業に見捨てられた人たちだ。つまり、彼らは国際競争に負けたわけでもメキシコや中国に雇用を奪われたわけでもなく、アメリカ国内の競争に敗れた人たちなのである。
だから、アップルやアルファベットをはじめとする世界最強の富めるアメリカ企業に応分の負担をさせてプア・ホワイトを救済するのが、アメリカ大統領として理に適った真っ当な政策だと思うのである。
※週刊ポスト2017年2月24日号