冬に旬を迎えるのが「しじみ」だ。しじみは海水と淡水が混ざる汽水湖などに生息する小形の二枚貝で、その小ささから「縮み」が転じて「しじみ」と呼ばれるようになったともいわれる。
日本本土の在来種としては、汽水性のやまとしじみと淡水性のましじみ、せたしじみの計3種が生息するが、近年では中国や韓国などから輸入された台湾しじみ類も多く流通している。
やまとしじみには年に2回の旬がある。産卵に備えて身が肥る春~夏と、充分な栄養を蓄えて土底深くに潜り成長を止める“寒しじみ”の冬だ。ちょうど今の時期のしじみは、身は小さいものの栄養がギュッと詰まっている。特に肝臓の働きを助けるグリコーゲンが豊富で、成人病の予防に役立つタウリン、ビタミンB12、アミノ酸、鉄分などもバランスよく含まれている。家庭料理研究家の松田美智子さんはこう話す。
「お酒を飲む機会が多いかたには、しじみのみそ汁を習慣づけてほしいほど、弱った肝臓には効果てきめん! 寒しじみの身は小さくて取りにくく、汁だけでつい済ませたくなりますが、あさりのように水から貝を入れるのではなく、沸騰したところに入れて煮ると、身離れよく、おいしく仕上がります」
◆しじみの選び方
お尻に向かってぷっくりとふくらんでいるのがやまとしじみの特徴。台湾しじみは全体に平たい。殻に艶があり、なるべく大きくて色の濃いものを選ぶ。しじみは冷凍することでうまみ成分が増えるため、真水か塩水(濃度1%)で砂出しをしたあと、すぐに使う予定がないのなら冷凍保存がおすすめ。よく水を切ってから冷凍用密封袋に入れて冷凍庫へ。そのまま6か月ほど保存も可能だ。
◆濃厚しじみ汁のレシピ
【1】しじみ400gは、塩大さじ1を入れた水に浸して砂を吐かせ、殻をこすり合わせてよく洗う。
【2】鍋に水1.5リットルと酒1/4カップを入れてしじみを加え、一度沸かしてアクをすくう。弱火にして20分ほど煮詰め、一度キッチンペーパーなどでこす。
【3】【2】を鍋に戻して沸騰させ、味をみて少量の薄口しょうゆで味を調える。
※女性セブン2017年3月2日号