今年に入って、金価格が上昇を続けている。今の国内小売り価格は1g4899円(2月13日現在)。2000年の平均価格1014円の実に4.8倍だ。
とはいえ、これまで一本調子で上がり続けてきたわけではない。2016年の金相場は、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選でのトランプ氏勝利の後に急伸したかと思うと、アメリカの景気拡大に伴う利上げを受けて急落するなど、乱高下した。
経済アナリストの豊島逸夫さんが言う。
「金は経済の先行きが不安になると価格が上がります。金は株式のように企業の業績や景気に左右されません。今年に入って金価格が上昇しているのは、トランプ大統領の経済対策に対する不安感、不信感からだと考えられます」
さらに長期的に見ても、金は上がり続けると豊島さんは断言する。
「株も紙幣も、その気になればいくらでも刷ることができるので、その価値が薄まってしまう可能性がある。しかし金は人間が作ることはできません。有史以来、採掘された金は50mプール3.5杯分。埋蔵量は50mプール1.5杯分ぐらいしかなく、しかもほとんどが海底なので、今後、間違いなく生産量は減っていく。金の価値はその希少性にあり、それが消えることはありえません。トランプ大統領が何か過激なことを言ったからといってそれに左右されるようなものではないんです」
とはいえ、どうやって金を買えばいいのかわからないという人も多いだろう。
金といえば金の延べ棒(純金バー)をイメージするが、純金バーはある程度まとまった量を買わないと手数料が高くついてしまう。初心者におすすめなのは、田中貴金属や三菱マテリアルといった地金や金貨を扱う会社が行っている「純金積立」だと豊島さんは言う。例えば田中貴金属の「net純金積立」なら月々1000円から始めることができる。
では今後、金はどこまで上がるのか。
「トランプ政権はこれから4年間続きます。つまり、これから4年間、株や為替などはトランプ大統領の発言によって大きく上下することになります。株取引を行うニューヨークのアナリストたちは“もう金でも買いたい気持ちだよ”とよく言っています。不安定な時代が続き、金がますます注目されて値上がりするでしょう。少なくとも2020年の東京五輪までには1g7000円になると見ています」
と豊島さん。
「有事の金」といわれるが、トランプショックに揺れる今こそ、金の“買い時”のようだ。
※女性セブン2017年3月2日号