寒い日が続くが、立春が過ぎて暦の上では春。4月の転勤、進学、就職シーズンを前に、引っ越し業界は繁忙期を迎えている。物件の入れ替わりが激しく、料金も値上がりするこの時期、上手にすませて、ステキな新生活を始めたい。
引っ越し業者を選ぶ時は、ネットの見積もりサイトなどで複数の業者から見積もりを取るのがコツ。不動産サポートオフィス代表の秋津智幸さんが説明する。
「引っ越し業界には、定額がほぼありません。業者によって金額はバラバラですし、同じ業者でも時期や日時によって大きく変わってきます。また、すべて一括プランのところもあるし、エアコンの移設や荷物の梱包、不用品の引き取りがオプション扱いのところもある。作業をどこまで業者にお願いするかを明確にして、引っ越し日を決めたらすぐに複数の業者に見積もりを依頼しましょう」
できれば引っ越しの候補日には幅を持たせた方がいい。
「同じ業者でも、土曜日の午前は20万円だけど、金曜日の午後は15万円といったふうに、1日違うだけで値段が全然違うこともあります。また、“午後5時”と指定するより、“午後はいつでもOK”と希望した方が、安くなる可能性が高い」(秋津さん)
ネットで見積もりを取ったら、その中から複数の業者に現地で最終的な見積もりをしてもらう。その時、同じ日に複数の業者に訪問してもらうのがポイントだと秋津さんは言う。
「業者の数は4~6社がいいと思います。自宅に来て実際の荷物の量を確認し、『○月○日○時頃の出発予定で、これくらいの荷物なら○円です』といったように最終的な見積もりを教えてくれます。
この見積もり時には、『今、決めていただけたらこの値段です』と言われることが多い。大抵、その日限りなら業者は待ってくれます。だから、『今日中に回答するので、夕方まで待ってもらえないでしょうか』とお願いしましょう。当日中に数社の見積もりをもらい、値段を比較して決めましょう」
その際に大事なのは、基準をそろえることだ。エアコンの移設、不用品の処分など、オプションを追加したらいくら、省いたらいくらなのかを聞いて、同じ条件で比較する。また、自宅訪問は、業者の対応を見極める手段でもある。
「中には、『今決めていただけないなら結構です』と言ってくる会社もいます。営業マンの融通がきかない会社は、こちらからお断りする。見積もりに来る営業の対応が悪ければ、引っ越し当日の対応も想像がつきます。その意味でも自宅に来てもらって決めてください」(秋津さん)
意外とばかにできないのは、日割り計算される賃料だ。秋津さんは「入居日の調整をしつつ、できるだけ早く退去日を決めることが大事」だと指摘する。
「基本的に退去日の1か月前までに連絡する決まりになっていることが多く、2週間後に引っ越す場合も、残り2週間分の家賃を払わなければいけません。新居と家賃が被る期間をできるだけ少なくできればいいので、退去日と入居日が同日ならベスト。入居審査に通ったら、契約日の前に、入居日や引っ越し日の調整をしつつ、退去日を決めましょう」
※女性セブン2017年3月2日号