籾井勝人前会長の退任後、NHKに変革が起きている。新企画にどんどん取り組み、“テレビ界視聴率ナンバー1”の座を貪欲に狙っているのだ。1月に上田良一氏が新会長に就任して以来、NHK内部の雰囲気は一変した。
「これまでは幹部たちが籾井さんの顔色を窺ってばかりで、局内には萎縮ムードが漂っていた。しかし、上田会長は“現場介入はしない”という方針のようで、局内の風通しがよくなりました。
たとえば、1月19日放送の内村光良(52)のコント番組『LIFE!』に、綾瀬はるか(31)がドラマ『精霊の守り人』のコスチュームで出演してコントをやりましたが、これが大ウケで、上田会長も絶賛していたといいます。これまでの“縦割り”のNHKでは考えられなかったことです」(NHK関係者)
視聴率が営業成績に大きく影響する民放と違い、国民からの受信料で支えられているNHKは視聴率と無縁のように思えるが、最近はそうでもないらしい。NHKの若手ディレクターがいう。
「民放以上に視聴率を気にしています。いまは受信料徴収を厳しくしているため、視聴者に『これだけ良い番組があるのだから受信料を払ってください』とアピールしなければならない。上層部からは常に“数字”を求められています」
そんなNHKにとって最大の敵となるのが3年連続視聴率三冠王の日本テレビだ。前出・NHKディレクターがいう。
「昨年上半期のゴールデンタイム(※1)はウチが視聴率11.8%で11.6%の日テレに勝った。2016年の全日(※2)平均でも0.9ポイント差と肉薄した。高視聴率が期待できる朝ドラや大河ドラマはBSでも放送しているため、そちらに流れてしまった視聴者も多い。それを含めれば、実質ナンバー1はウチだと思います」
NHKと日テレの“テレビ界最強”を懸けた戦い。現在攻勢を仕掛けているのはNHKだ。
【※1/19~22時の間の平均視聴率のこと。視聴率が最も高い時間帯】
【※2/朝6時から深夜24時までの間の平均視聴率のこと】
※週刊ポスト2017年3月3日号