女優・清水富美加(22)が幸福の科学への信仰を告白、出家すると宣言して以来起きている騒動に象徴されるが、信仰と芸能活動をともに続けるのは難しいことなのか。しかし、芸能界において、信仰心が“要注意視”されがちな状況のなかで、熱心な信仰を公言する芸能人も少なくない。
「佛所護念会教団」に入信した経緯を自著に書いているのは歌手の北島三郎(80)だ。
〈「レコード歌手になるんだ!」という“夢”だけを食べてさまよっていた時代でした。(中略)ある日、義母が言いました。
『精神的に荒んだとき、人間は心を安め、慰めを求める場というものが必要だと思うの。いくら意思が強いったって、所詮、人間だもの、自分一人じゃ耐えきれない時だってあるものよ。無理に入信しなさいなんて言わないから、一度、行くだけ行ってみない?』
(中略)先祖に感謝し、かかわり合いをもつ周囲の人間に真心をもって接すれば、その真心は必ず自分のところに戻ってくる―私はこの考えに共鳴し、自ら会員になったのです〉(『道』、1988年刊)
北島はその後、歌手デビューを果たして大ヒットを飛ばすようになると、教団の創立30周年、35周年の行事などで司会を務めた。〈自分の所属する教団ですから、もちろんノーギャラです〉(前掲書より)とも明かしている。貧しい時代の自分の気持ちを支えた教団への恩返しの気持ちもあったのだろうか(北島の所属事務所に現在の信仰について確認すると、「20年ほど前まで教団の節分の豆まきなどに参加していたが、今は通っていない」と回答)。
角界のプリンスと呼ばれた故・花田満(初代貴ノ花)は霊友会の信者として知られるが、やはり著書で〈大勝負となると“孤独”と戦わなければならない。(中略)こんな時、自然と出て来るのが『南無妙法蓮華経』ということばだ。(中略)骨折、内臓疾患、あらゆる障害と戦っているうちに、やはり宗教的バックボーンが大切なんだなと思うようになって来た〉(『あたって砕けろ』、1975年刊)と書き、華やかな仕事だからこそ孤独になる瞬間があり、そうした状況で信仰が助けになると位置づけている。
他にも、女優・斉藤由貴が1994年の結婚の直前、モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)信仰に基づいて結ばれた結婚であると経緯を明かした雑誌インタビュー(『サンデー毎日』1994年11月13日号)などが話題になったこともある。
信仰心が芸能活動を下支えするケースは少なくないのだ。
※週刊ポスト2017年3月3日号