本誌・週刊ポスト前号で取り上げた「死後離婚」についての特集が、“想定外”の反響を呼んだ。「死後離婚」とは、夫の死後に妻が夫の親族との親戚関係を解消する「姻族関係終了届」の書類を役所に提出すること。これにより、妻は夫の親族との縁が切れ、義父母の介護等にかかわる必要はなくなる。本誌は、「自分が死んだ後に離婚されるなんて怖すぎる」という夫側の反応を期待していたのだが、予想に反して妻たちから「いい情報だからもっと知りたい」という問い合わせが殺到してしまったのだ。
死後離婚しても、義父母が持つカネや財産は手に入れたいという女たちもいた。
「夫の両親にはさんざんイビられて来ました。夫が死んだら姻族関係を終わらせたいのですが、今までの気苦労代として義父母からの財産分与を受ける方法はありますか?」(60歳・主婦)
夫の両親の財産は、そもそも妻に相続権がない。しかし、妻には「子供を利用する」という手があるという。
「夫が死んでいる場合、義父母の遺産は夫の子供(義父母の孫)が『代襲相続』します。たとえ母親が義父母と姻族関係を解消したとしても、孫と祖父母の血族関係は切れていない」(家族問題に詳しい弁護士・加藤泰氏)
つまり、子供を通じれば遺産を得ることは可能となる。4年前に夫と死別した都内在住の田中道代さん(仮名・55)はこんな計画を明かす。
「私自身は夫の両親と絶縁状態にありますが、息子にはおじいちゃん、おばあちゃんの遺産を受け取ったら半分は家に入れるように言ってあります。半分と言っても、夫の実家は九州の資産家。老後の心配は要りません。バレないっていうなら、死後離婚しちゃおうかしら」
あぁ、やっぱり恐ろしい。
※週刊ポスト2017年3月3日号