籾井勝人前会長の退任後、NHKに変革が起きている。新企画にどんどん取り組み、“テレビ界視聴率ナンバー1”の座を貪欲に狙っているのだ。その前に立ちはだかるのが民放最強・3年連続視聴率三冠王の日本テレビ。ガチンコ勝負の行方やいかに──。3つのキーワードが存在する。
●大晦日対決
年末になると『紅白歌合戦』と『笑ってはいけない』シリーズの視聴率合戦が話題になる。『笑ってはいけない』は梅宮辰夫(78)や斎藤工(35)など、大御所やイケメン俳優に、他番組では絶対に見られない“過激”な演出をして盛り上げる。
一方、紅白の視聴率は年々下がり、一昨年は史上最低の39.2%を記録。昨年は2年ぶりに40%台に戻したが、『笑ってはいけない』との差は縮まる一方だ。
「昨年は『シン・ゴジラ』とのコラボなど、かつてない演出を試みた。“スベッた”という意見も若干ありましたが、今年はもっと過剰な演出でがむしゃらに視聴率を取りにいくのでは」(テレビ誌記者)
●シニア向け「ドキュメンタリー」対決
視聴率アップを狙うにも、最近では若者層の“テレビ離れ”が叫ばれて久しい。そこで、両局がガッチリと捕まえておきたいと考えているのがシニア層だ。視聴傾向を見ると、シニア層はドキュメンタリー番組の視聴割合が最も大きいという調査結果がある。
日テレの長寿ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント』は、文化庁芸術祭大賞をはじめとする数々の賞を受賞し、深夜枠にもかかわらずファンも多い。特徴は30分と短い枠のなかでも深い取材を行なう番組作りだ。
曜日は違うものの同じ深夜枠でNHKが始めた『ドキュメント72時間』にはある“噂”が囁かれている。
「NHKのドキュメンタリーといえば1~2時間の長い番組が多かったが、『72時間』は25分枠。『NNNドキュメント』を意識したものではないかといわれています」(テレビ関係者)
●朝ドラヒロインを狙う
日テレがNHKから“漁夫の利”を得ているケースもある。『あまちゃん』以降、朝ドラの大ヒットが続いているが、ヒロインを務めた女優たちを日テレがドラマで次々に起用し、高視聴率を稼いでいるのだ。
『ごちそうさん』主演の杏(30)を『花咲舞が黙ってない』の主役に抜擢し、平均視聴率16.0%を獲得。『あさが来た』で大ブレイクした波瑠(25)もすぐに『世界一難しい恋』のヒロインとして出演させて、こちらは平均視聴率12.9%をゲットした。
今クール好調のドラマ『東京タラレバ娘』の主演は、『花子とアン』主演の吉高由里子(28)だ。
「朝ドラに出演した女優は知名度、話題性があるから、キャスティングするメリットは大きい」(三杉氏)
※週刊ポスト2017年3月3日号