白内障は「国民病」と言っても差し支えないだろう。60歳以上の6割、80歳以上のほぼ100%が発症するといわれる。
もちろん、白内障の患者全てが直ちに手術を要するわけではない。が、進行すれば緑内障を併発したり、最悪のケースでは失明することもあるため、早めに処置するに越したことはない。現代医学において、「白内障は手術をすればほぼ100%治る」といわれる。しかし近年、「手術によってかえって視力が低下した」というケースも頻出している。
15万件超という世界トップクラスの眼科手術実績を誇り、欧米の医師から“世界一の眼科医”と呼ばれる深作秀春・医師が明かす。
「他の病院で白内障の手術を受けて、手術後の視力が悪くなり、私の病院に駆け込む患者は後を絶ちません。それなりに名の通った病院でもこうした事態が繰り返し発生しているのが現状です」
6年前に、白内障の手術を受けた福岡県の会社役員A氏(61歳)が話す。
「若いころは1.0あった視力が、50歳を超えると徐々に下がり始め、55歳の時には0.1まで下がったので東京の有名大学病院を受診しました。担当医からは『進行白内障で、手術すれば回復する』と言われた。私は『大病院の医師が治ると言うのだから大丈夫だろう』と信頼して手術を受けました。
その結果、視力は0.5程度まで回復しましたが、喜びも束の間。年月とともに視力が再び低下して、術後5年で0.01まで落ちました。やむなく同じ病院を再受診したら、『前回受けた手術が原因で炎症を起こし、網膜剥離も併発している。再手術しても視力の回復は絶望的だ』と告げられました」
ほぼ100%治るはずの白内障の手術でなぜ、そんな事態が頻発しているのか。年間4000~5000件の白内障手術をこなす深作氏は、「主因は医師の腕にある」と語る。
「白内障手術は眼科手術の基本です。だからこそごまかしが利かないため、医師の腕がストレートに結果に表われます。
日本の眼科医は手術の技術が足りないため、白内障では10年も経たないうちに、手術時の数値以下まで視力が低下するケースが少なくない」(深作氏、以下「」内同)