がんを患いながら仕事を続ける人が日本には約32.5万人いるという。ただ、それは簡単なことではない。内閣府の調査に約7割の人が「現在の日本社会では仕事とがん治療の両立が難しい」と答え、厚労省の調査によると、がんが発覚したサラリーマンの3人に1人が依願退職か解雇になっている。
「テレ朝さんや東映さんが許可してくれなければできない。それを“みんなでやってみようよ”と言ってもらえた」
がんと闘いながらでも「演じられることの喜び」を噛みしめたのは、渡瀬恒彦(72才)だ。主役を務めるドラマシリーズ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)のこの4月からの放送が発表され、取材会で心境を吐露した。
昨年、女性セブン6月9日・16日号で胆のうがん闘病中であることを告白。2015年秋にがんが発覚した後は約半年に及ぶ長期休暇をとるなど、仕事をセーブした時期もあった。だが、「シーズン12」に突入する『9係』にかける思いは並々ならぬものがあり、そこに向けて体調を整えてきたという。
「どんな人気俳優をキャスティングした話題作のドラマでも、平均視聴率10%をとることが難しいと言われる時代に、『9係』は安定して十数%という数字を残してきました。言わば、テレ朝の看板ドラマ。それも、渡瀬さんのいぶし銀の演技があってのものです。かつて同じくテレ朝と東映の制作で18年続いた人気刑事ドラマ『はぐれ刑事純情派』の主演の藤田まことさんに近い“定番の存在感”になってきています。渡瀬さんは入院せず、通院しながら小康状態のがんと向き合っているそうです」(芸能記者)
昨年4~6月放送の「9係12シーズン」では、渡瀬は病気を共演者に伏せたまま撮影に臨んだ。
「自分の口から(病気のことを)話したことはないです。週刊誌に出たから否定はしませんが、あえて自分からしゃべることではないと思っていた」と語った渡瀬。「現場で弱音は一切なし。本当に痛くないのか、つらくないのかは本人以外誰にもわからなかった」(ドラマスタッフ)という精神力で関係者を唸らせた。