国際情報

知日派の米政権アジア上級部長 異色経歴に中国も戦々恐々か

「中国指導部には脅威だが、日本には有利」の声も

 トランプ米政権の安全保障問題を担当する国家安全保障会議(NSC)のアジア上級部長にマット・ポッティンジャー氏(43)が就任した。ポッティンジャー氏は米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の北京特派員を務めていたが、環境汚染に抗議して工場建設に反対する民衆のデモを取材するうちに、官憲ともみあいになり逮捕されるという異色の経験を持っている。

 また、その後米軍に入り、海兵隊幹部として、沖縄駐留米軍にも配属されたこともある知日派。ドナルド・トランプ大統領は中国に厳しい発言をする半面、安倍晋三首相とは親密な関係を築いていることから、「中国指導部には脅威だが、日本には有利」との見方が出ている。複数のメディアがワシントン発で報じた。

 ポッティンジャー氏はマサチューセッツ大学で中国問題を専攻し、卒業後、1998年にロイター通信に記者として入った。米国内の地方支局経験後、2001年には「ウォール・ストリート・ジャーナル」に転じ、北京特派員として中国を取材。

 中国では得意の中国語を生かして、環境汚染問題などの社会問題を精力的に取材し、地方での警察によるデモ弾圧に抵抗するなどして身柄を拘束され、留置場で一晩過ごしたこともある。

 また、地方政府とつながっている黒社会(中国マフィア)組織に目を付けられ、暴力をふるわれることもあったという。中国当局の監視を受けている人権団体への取材が国家機密漏えい罪に当たるということで、逮捕されることもあった。このため、滞在ビザが更新されず、事実上の国外追放処分になった。

 これらの経験を本にまとめたところ、「アジア出版者協会賞」を受賞したが、中国問題を取材し続けることに限界を感じたことで、ジャーナリストの仕事をやめ、米海兵隊に入隊。幹部候補生としての幹部学校に入学し、同期の6割以上が脱落するなか、無事に卒業し、海兵隊少尉に任官した。

 海兵隊では沖縄に駐留したほか、イラクやアフガニスタンで実戦に参加。アフガニスタンで女性だけの特殊部隊の創設を進言し、大きな成果を収めたという。このときの上司が、トランプ政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官に任命され、さきごろ辞任したマイケル・フリン氏。フリン氏との縁で、政権入りしたとみられる。

 ポッティンジャー氏のNSCアジア上級部長の起用について、香港メディアなどは「中国の人権弾圧などの現実をよく知っているだけに、中国外務省幹部らはどのような政策を打ち出すのか。戦々恐々としている」と報じている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《深刻な女性トラブル》中居正広、スポンサーが厳しい目線…「引退の可能性」飛び交う情報、仮に引退しても金銭的には安泰
NEWSポストセブン
物議を醸した一連の投稿(現在は削除済み、画像は編集部で一部加工しています)
《頭部がたくさん並んでいるよ》“ご献体”前でピース写真の女性美容外科院長が解任 主催者が反論していた「ボカシが入っていたら問題はない」主張への違和感
NEWSポストセブン
心配される中居正広の病状
《女性トラブルで解決金9000万円》中居正広、公式スタッフブログが騒動についてコメント「今向き合わなければならないことを真摯に、懸命に」
NEWSポストセブン
1994年生まれは日本人アスリートの黄金世代
《“羽生世代”か“大谷世代”か、同世代の主役は?》羽生結弦、記者に「1994年代についての質問はNG」と通告 大谷翔平との“相思相愛”に異変
女性セブン
タレントパワー指数が高い女性アナは?(左からホラン千秋、水卜麻美、田中みな実/時事通信フォト)
《内部資料》大手広告代理店が共有する女性アナ「タレントパワー指数ランキング」1位は水卜麻美アナ キャリアが長く“顔と名前が一致する”アナが上位に
週刊ポスト
神田のカップインを喜んでいたAさん
《神田正輝が妖艶マダムとゴルフ場デート》助手席でほほ笑む女性…『旅サラダ』卒業後の「体調の変化」
NEWSポストセブン
巨人入団が決まった田中将大(時事通信)
《まさかの年俸1億6000万円》巨人入団・田中将大が頼った「凄腕代理人」の存在 阿部慎之助監督に直談判、海を渡った怪物スラッガーには「彼を通じないと取材できない」
NEWSポストセブン
サブスク開設宣言をした女子プロテニス選手の園田彩乃(インスタグラムより)
【けしからん恵体】カトパン似テニス選手・園田彩乃(29)「すごい三角ビキニ写真」でサブスク開設宣言「気になる有料の中身」とは
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《元カレミュージシャンやじゃいの投稿へ違和感》中山美穂さん急逝で「追悼コメント」が波紋 SNS時代には「何を言うか」より「何を隠すか」が愛情
NEWSポストセブン
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《女性に解決金9000万円》中居正広を支えていた薬指に指輪の“10年愛”パートナー…トラブル前後で打ち明けた「お酒を飲まないと女の子と話せない」状態
NEWSポストセブン
2025箱根駅伝の注目ポイントを瀬古利彦氏が紹介
【瀬古利彦氏が予想する2025箱根駅伝の構図】優勝候補の青学・駒沢・国学院の強みとウイークポイント ダークホースは「中央大です」
週刊ポスト
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
《9000万円重大トラブル・中居正広》フジ幹部A氏との蜜月「オレが信長ならAは秀吉」 酒の場で「2人が興じたゲーム」
NEWSポストセブン