突然届いた訃報に、ご遺族になんと声をかけていいか、戸惑ったことはないだろうか? よかれと思って伝えた言葉が、相手の悲しみを増長させてしまうこともある。予期せぬお別れに心を傷めることの多いこの季節、残されたかたへのお悔やみの言葉について考えてみたい。
Q:お悔やみの言葉はLINEやメールで伝えてもOK?
A:LINEやメールが当たり前となった今では必ずしもマナー違反ではない、と言うのは、葬儀ビジネス研究所の吉川美津子さん。
「5年ほど前は、メールでお悔やみを伝えるなんて非常識だといわれていましたが、今はLINEやメールは伝達事項だけなく、気持ちを伝えるツールとして普及しています。目上のかたや仕事関係の相手には避けた方がいいですが、親しい間柄でも、電話をするのがはばかられるとか、直接会ってお悔やみの気持ちを伝えるのが難しいような場合は、LINEなどを使っても構わないと思います。その際は、“ご返信は不要です。私でお力になれることなら、遠慮なくおっしゃってください”などと、返信の負担をできるだけ減らすような文面を添えてください」(吉川さん)
Q:言ってはいけない言葉はある?
A:“くれぐれも”や“ますます”などの重ね言葉や“消える”“浮かばれない”など、不吉なことを連想させる言葉は、お悔やみの時に使ってはいけないといわれる。ただ、動揺していると不用意に使ってしまうこともある。
“大人力”で知られるコラムニストの石原壮一郎さんは、こう語る。
「あまり神経質になりすぎるのもストレスになるので、素直な気持ちを伝えることをまず優先させましょう。ただし、“大往生でしたね”や“天寿を全うされましたね”は、遺族が言う言葉で、お悔やみの言葉としてはふさわしくありません。高齢者であったとしても、“まだまだ長生きしてほしかったです”と言うのが適切です」(石原さん)
相手を慰めようと、自分の身に置き換えた話をするのも避けるべき、と言うのは前出の吉川さん。
「夫を亡くしたかたに対し、“自分が夫を亡くした時はもっと大変だった”などと不幸自慢を話すのは、大切な人を亡くしたかたに対して失礼。また、“早く元気になってね”も、悲しんでいる相手には無理なこと。大事な存在を亡くした傷は一生、癒えることはないので、“時が経てば忘れるわよ”などと軽々に言うべきことではありません」(吉川さん)
※女性セブン2017年3月9日号