社会学者の上野千鶴子氏による「平等に貧しくなろう」発言が、議論を集めている。論調の多くは批判的だが、評論家の呉智英氏が、独自の見解を解説する。
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2月11日付東京新聞・中日新聞の連載企画「この国のかたち2017」で、社会学者の上野千鶴子が発言している。タイトルは「平等に貧しくなろう」だ。
これが批判を呼んでいる。お前が率先して貧しくなれ、というわけだ。だが、これとは違う意味で上野の発言は気になる。
上野の発言は、日本の人口減少を論じたものだ。現状では人口の自然増は期待できず、移民受け入れも「単一民族神話が信じられ」「多文化共生に耐えられない」以上「客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思う」。それ故「人口減少と衰退を引き受けるべき」であり「みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」。
意見としてはありうるだろう。ただ、私は人口減少に打つ手がないとは思えず、人口減少が進んだとしても、そう簡単に日本社会が衰退するとも思えない。これについては別に考察するとして、上野発言のタイトルにもなった「平等に貧しくなろう」の思想的・歴史的意味について考えてみたい。