3月14日に開かれる「歌舞伎座ギャラリー演奏会」の“出演者組み合わせ”が、梨園を騒然とさせている。出演者として発表された面々の中には、田中傳左衛門(40)ら名人と並んで、香川照之(市川中車、51)の長男・市川團子(13)の名があった。
傳左衛門と團子には因縁があり、この“共演”は梨園においては一大事という。
46歳という異例の年齢で香川が團子とともに梨園入りを宣言したのは2011年。その直後、傳左衛門は伝統を重んじる歌舞伎の世界において、慣習を破った香川親子を痛烈に批判した。
自身のブログで、名前こそ伏せられていたものの明らかに團子を指しているとわかる文脈で〈世襲は環境である。血統が有ってもちゃんと鍛えられなければ只の駄馬〉と酷評したのだ。当時7歳の團子には酷な評価にも思えるが、この批判は香川一家に大きな影を落とした。
「香川の奥さんは、自分が継げなかった『市川猿之助』という名前を我が子に継がせたいという夫の切なる思いを尊重して、梨園入りを渋々認めた。だが結局、幼い我が子が批判の対象となり、それに対して何もできなかった香川に不満を抱くようになったのです」(梨園関係者)
以来、それまで「梨園の妻」として夫と息子を支えてきた彼女は劇場にも一切姿を見せなくなった。そして昨年12月、香川夫妻は離婚に至る。そう考えると、今回の演奏会での傳左衛門と團子の“和解共演”の意味が理解できる。
「團子の役者としての成長はめざましい。熱心に稽古に励んでいて、父親の芝居にダメ出しをできるほど演技の妙がわかるようになってきている。そんな團子を松竹も“将来の市川猿之助”として売り出したい思いがある。今回の共演は、香川本人が望んだわけではなく、“金の卵”である團子のトラブルを解決しようと周囲がセッティングしたものだといわれています。團子を猿之助にしたい香川にとってもありがたい話でしょう」(梨園関係者)
香川と前妻は、一体どんな思いでこの共演を見守るのだろうか。
※週刊ポスト2017年3月10日号