老眼の“民間療法”の中には誤解がある。視力回復によいといわれるブルーベリーは効果があるのだろうか──。
15万件超という世界トップクラスの眼科外科手術実績を誇り、欧米の医師からは“世界一の眼科医”と讃えられる深作眼科理事長の深作秀春医師がいう。
「医学的な根拠が認められません。ブルーベリーの一種であるビルベリーには『抗酸化作用』があるといわれていますが、それも“目に良いかもしれない”といったレベルの報告しかありません」(以下、表記がない限り深作医師)
“民間療法”には逆効果となるものも多い。
「中でも、話題となっている『眼球の体操』などは要注意です。眼球を上下左右に激しく動かすことで老化を防ぐとの触れ込みのものがあるが、眼球を動かすことで硝子体繊維(※注)が揺れます。するとこれと繋がっている網膜が引っ張られて破け、網膜剥離を起こす危険性もある」
【※注/眼球内を満たすゼリー状の組織「硝子体」内に含まれる僅かな繊維質】
疲れた目を癒そうとしてマッサージする人も多いが、これもNGだ。
「目が疲れやすくなるのは、眼球のなかの毛様体筋がピントを合わせようとして緊張するからです。この筋肉はマッサージなどで外部から刺激してもほぐすことはできません。それどころか、マッサージによる刺激を繰り返し激しく行なうと、これも網膜剥離を引き起こす可能性があります」
目は“外界”からの刺激に弱く、「こする」だけで老眼が進行することがあるという。
「花粉症やアトピーになると頻繁に目をこするからなのか、調節力が落ちてしまうケースが少なくない。重度の花粉症に悩む20代の患者が老眼になってしまったというケースがあります。
同様に、紫外線やパソコン、スマホの画面から出るブルーライトは水晶体にダメージを与え老眼を進行させるだけでなく、角膜や網膜も傷つけます。日頃からサングラスや保護メガネで目を守ることが大切です」