稀勢の里が横綱として初めて迎える場所、大阪場所が3月12日に始まる。ガチンコ横綱・稀勢の里を中心とした先輩後輩などのしがらみに縛られない、遠慮のない取り組みによって若手日本人力士たちへの期待が高まるなか、ガチンコ外国人力士たちも土俵を盛り上げる。
モンゴル勢(白鵬、鶴竜、日馬富士、照ノ富士)が3横綱1大関を占めるなかで、同郷の先輩に遠慮なく全力でぶつかっていく玉鷲(片男波部屋)や貴ノ岩(貴乃花部屋)、荒鷲(峰崎部屋)、千代翔馬(ちよしょうま、九重部屋)、逸ノ城(いちのじょう、湊部屋)らは優勝争いに波乱を巻き起こす存在となる。初場所では貴ノ岩が白鵬に、荒鷲が白鵬と鶴竜、玉鷲も鶴竜に土をつけた。
「玉鷲は土俵に情が入る余地を断つため、モンゴル人力士コミュニティの会食などにも、必要以上に立ち入らないようにしていると聞きます。荒鷲も、峰崎親方(元・三杉磯)から部屋を譲ってもいいと期待されているといい、帰化を視野に入れているだけに、同郷人脈とは距離がある」(協会関係者)
モンゴル勢だけではない。前頭上位にはブルガリア出身の碧山(あおいやま、春日野部屋)もいる。
「初場所直後に同じブルガリア人の女性と結婚したばかり。奥さんはドイツで建築デザイナーとして活躍していた女性で、仕事を辞めて日本に移り住んだ」(同前)というから、3月場所は新妻に活躍を見せようと相当張り切って臨むとみられている。
ブラジル出身の魁聖(かいせい、友綱部屋)もガチンコ力士として知られ、「2014年にすでに帰化。モンゴル国籍のまま一代年寄襲名を目指す横綱・白鵬の姿勢には疑問を抱いている」(別の協会関係者)とされ、一口に“外国人力士”といっても、その個性は様々なのだ。