今が旬、はまぐりは『日本書紀』(720年)にも記述が見られるように、古くから日本で食されている二枚貝。形が栗に似ていて浜辺に生息することから“浜栗”と命名されたという説がある。
もともとの組み合わせ以外の貝殻とは決してかみ合わないことから、結婚式ではまぐりの吸いものが供されることも。また、3月3日のひな祭りにうしお汁を食べる習慣が始まったのも、女児へ将来の良縁を願ってのことと推察される。
栄養面では、コレステロールや脂質が少なく、うまみ成分であるタウリンやグリシンなどのアミノ酸を豊富に含む。特に血圧・血糖値・コレステロール値を下げる働きのあるタウリンの含有量は貝類でもトップクラス。さらには、ビタミンB2、貧血を予防する効果のあるビタミンB12や鉄、カルシウム、体の酸化を防ぐ作用のある亜鉛など、女性の健康に欠かせない栄養素の宝庫である。家庭料理研究家の松田美智子さんは、こう話す。
「毎年、春が待ち遠しいのは、はまぐりが楽しめるから…といっても過言ではありません。小さな土鍋にはまぐりを入れて、ちょっと残ったシャンパンを注いで酒蒸しに。アミノ酸が凝縮された上品な甘みに、ほっと癒されます」
◆はまぐりの【準備】
はまぐりは、重みがあって殻の表面がすべすべとして光沢があるものを選ぶ。買ってきたらすぐに30分ぐらい塩水につけて砂を吐かせる。その後、殻と殻をこすり合わせるようにして洗う。ちなみに焼きはまぐりにする際は、ちょうつがいの外側にある小さな突起(靱帯)を削ぎ取っておくと、はまぐりの口が開かなくなり、うまみたっぷりの汁がこぼれない。
◆小はまぐりのパスタ
【1】小ぶりのはまぐり8~10個は【準備】を参照して下処理する。
【2】大きめの鍋に塩大さじ2を入れた水を沸騰させ、パスタをゆで始める。
【3】フライパンににんにくのみじん切り大さじ1とオリーブ油大さじ4を合わせて中火で炒め、アンチョビのみじん切り大さじ1を加えてさらに炒める。
【4】小はまぐりを加えて白ワイン1/3カップをかけ入れ、蓋をして殻を開かせる。
【5】バジルの葉1茎分、グリーントマト(なければ硬めのトマトで可)1個をざく切りにして入れてさっと炒めてパスタのゆで汁少量を入れる。塩・こしょう少量で味を調える。
【6】アルデンテにゆで上がったパスタを【5】に加えて絡め、皿に盛りつける。好みでパルメザンチーズを添える。
※女性セブン2017年3月16日号