確定申告の提出期限の3月15日が迫ってきた。今年はマイナンバー制度の導入で、源泉徴収票が昨年より大きくなり、添付書類も増えている。でも、面倒くさがらないでほしい。しっかり申告すれば、払いすぎた税金は簡単に取り戻せる。「手続きしたら3万円戻ってきた」なんて話も夢じゃない。
サラリーマン家庭でも、確定申告しないと税金を取り戻せないものの代表が「医療費控除」。医療費をたくさん使ったかどうかは個別の事情なので、勤務先の年末調整では対応できないからだ。
利用できるのは、昨年1年間に「長期入院した」「交通事故にあった」などで、医療費が10万円を超えた人。ただし、総所得金額(収入から基礎控除や給与所得控除などを差し引いた額)が200万円未満の人は医療費が総所得金額などの5%を超えると申告できる。
対象となる医療費は、申告する本人のものだけではなく、「生計を一にしている家族」のものはすべて認められる。
つまり、自分の生活費とかかわりがある家族だ。例えば、離れて暮らしていても、大学生の子供や年老いた両親に仕送りをしていれば、まとめて申告できる。税理士の福田まゆみさんが解説する。
「医療費控除は、家族のなかで誰が申告してもかまいません。所得税率が高い人が申告すると還付金が増えるので、原則的に収入の高い人が申告したほうがおトクです」
では、医療費控除をするとどのくらいお金が戻るのか。Aさん一家(夫の年収600万円・所得税率10%)のケースで計算してみよう。Aさんは、出産して15万円(健康保険からの出産一時金を差し引いた金額)、夫が健康保険のきかない歯の治療で35万円、合計50万円の医療費を使った。
医療費控除で戻るお金の目安は、【(医療費の総−10万円)×所得税率】。健康保険や民間保険から補てんされたお金がある人は、その分も医療費の総額から差し引く。この計算式をAさんのケースに当てはめると、【(50万円−10万円)×10%=4万円】。確定申告すると、Aさんは4万円を取り戻せる。
医療費控除は、医療費そのものが返ってくるわけではないので、医療費が10万円を少し超えただけでは、ほとんどお金が戻らないこともある。
「できるだけ還付金を増やすには、医療費として認められる費用をたくさん集めて申告することが大切です。原則的に、予防や美容目的のものは認められませんが、治療目的や医師の指示で使った費用は認められます」
例えば、レーシックの手術費用、不妊治療や人工授精の費用などのほか、ドラッグストアで購入した鎮痛剤や胃腸薬、子供の通院に付き添った交通費など、認められる範囲は案外広い。
確定申告時期に慌てないためには、ふだんから医療費関連の領収書はきちんと管理しておくことが大切だ。また、Aさんのように出産した年に、夫も一緒に歯科治療をするなど、同じ年に家族がまとめて医療費を使うと控除額を多くできる。
急がなくても問題ない治療なら、計画的に医療費を使うのも税金を安くするには、ひとつの手段だ。
※女性セブン2017年3月16日号