ここまで歪な人口構成になると、解決策をひねり出すのも難しいだろう。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
* * *
中国の結婚式が派手でお金のかかるものであることはつとに有名だ。なかでも南部よりも北部。大変なのは、花嫁を迎え入れるための住居(購入したもの)と、結納金ともいうべきまとまった現金(以下は礼金として統一)を用意しなければならないことだ。
「その北部にある首都・北京の若者たちが、いま結婚資金を用意できず四苦八苦しているというレポートが出されたのです。数年前、大陸からの投資が流れ込んだことで香港の不動産が暴騰。香港の若者が現地の不動産を変えなくなり花嫁を迎えられないと苦情が広がり、社会問題になったのは記憶に新しい。それが今度は北京で、それも不動産価格だけでなく礼金の金額も急騰しているというのですから、若者は大変です」(北京の人気夕刊紙の記者)
調査を行って若者たちの悲鳴を報じたのは『人民日報 海外版』である。変化として比べているのは4年前に行った同様の調査だ。記事によれば4年前に平均して1万元程度(約16.5万円)の現金か相応の品物であった礼金は、いま20万元(約330万円)にまで上がっているという。
4年間で一気に20倍になるとは尋常ではないが、その背後にはどんな問題があるのだろうか。
「それは単純に女性不足です。一人っ子政策の浸透により男女が大きくゆがんでしまったことは有名ですが、これが現実に感じられるようになってきているのです」(同前)
2020年には、中国で「結婚できない男」は3000万人~3500万人に達する──。こんな予測をした中国人民大学社会人口学院の楊菊華教授の報告はつとに有名であるが、2009年には男女比がついに100対119.45という異常な状態になった問題が、いよいよ本格的な男余りを実感させる時代を迎えたということかもしれない。