2011年3月11日に起きた東日本大震災によって起きた福島第一原子力発電所の事故から6年。福島県内の避難指示区域を歩くと、山積みの土壌や草木など除染で生じた放射性廃棄物を詰め込んだフレキシブルコンテナバッグ(フレコンバッグ)がかなりの威圧感を放っているのがわかる。
「まるで黒いピラミッドですよ。自宅から歩いてすぐのところに除染廃棄物がある暮らしなんて、普通じゃありません」(「解除地区」楢葉町の住民)
フレコンバッグは今後、福島第一原発近くの中間貯蔵施設に移され、30年保管した後、県外に建設予定の最終処分施設へ搬出する計画という。
しかし問題は、計画が予定通りに進んでいないという現実だ。
環境省の試算によれば、中間貯蔵施設に集約される放射性廃棄物は約2200万立方メートル、東京ドーム18個分に相当する。今後県内270か所の仮置き場から中間貯蔵施設の敷地に移していくが、建設計画は大きく遅れている。その原因が用地買収の問題だ。
「地権者約2360人との交渉が長引いており、現在のところ施設に必要な約16キロ平方メートルの土地取得計画は17.9%ほどです」(環境省)
そればかりか、県外の最終処分施設の予定地もいまだ決まっていない。最終処分施設への廃棄物の搬出は2045年までと決まっているが、最終処分施設に名乗りを挙げる自治体の見通しは立っていない。
行き場のないままフクシマにそびえ立つ無数の「黒いピラミッド」。美しい風景が戻る日は訪れるのだろうか。
●撮影・太田真三
※週刊ポスト2017年3月10日号