中国の反腐敗キャンペーンはいつまで続くのか。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
* * *
2017年の春節が明け、中国もいよいよ正月気分が抜けたところだが、北京は今年も徹底した反腐敗キャンペーンを行うことを宣言している。つまり、過去4年間同様、おびただしい数の腐敗官僚たちが処分され続ける傾向は緩まないということだ。
「習近平主席は、総書記就任の2期目に突入するのを前に6中全会(中国共産党中央委員会第6回全体会議)において、自らの4年間を反腐敗の成果を強調することで締めくくりました。そこで反腐敗の手を緩めるつもりがないことを宣言しましたが、この言葉を疑う者はいないでしょう。それどころか今後は大きな網で取りこぼした魚を丁寧に捕まえてゆくことになるのではないでしょうか」(共産党関係者)
6中全会後に再び反腐敗キャンペーンの行方に関心が集まった中国社会に、興味深い本が出版され話題となった。2月21日発売の『検察日報』である。
中身の説明には多くの言葉を要しまい。要するに摘発の事例の紹介だ。紙幅の都合でその中身のいちいちを紹介するわけにはいかないのだが、話題になったのは摘発を逃れようとする官僚たちの悪戦苦闘ぶりである。なかでも不正に蓄財した膨大な札束や貴金属の隠し場所には苦労したようで、彼らが頭を使って工夫を凝らしたさまがそこから読み取れるのだ。
例えば、この本をもとに記事を配信した『法制晩報』によれば、江蘇省建設庁の元庁長、徐其耀は糞尿の詰まった浄水槽に400万元(約6600万円)を隠していたことでつかまっている。
このほかガス管を自ら取り外して改造後にそこに隠していた官僚もいれば、現金を置くためだけの専用ルームを持っていた地方政府の幹部などがいたという。いずれにしてもこんな景気のいい話は、今後の中国からはそうそう聞こえてきそうもない。