第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)開幕直前になってなお、侍ジャパンを率いる小久保裕紀監督(45)に対する不信感が、チーム内にくすぶったままだ。
「やはり大谷翔平(22)の出場辞退の影響でチーム編成に自信が持てない状態がずっと続いているのでしょうか。2月下旬に強化合宿に入って以降、場当たり的に思える指示が目立っていました。直前のキャンプ視察の時は何もいわれていなかったのに、いきなり普段と違うポジションを守るよう指示されて戸惑っている選手もいました」(スポーツ紙デスク)
実際、通常のシーズン中よりも登録枠が少ない野手陣の配置は簡単ではない。
セカンドの定位置に菊池涼介(26、広島)を置くと、2年連続トリプルスリーの山田哲人(24、ヤクルト)を守備で使うにはサードやファーストを守らせる必要があり、坂本勇人(28、巨人)がいるショートの田中広輔(27、広島)はサードのバックアップが期待される―といった具合だ。
「最初からはっきりとしたチーム構想があれば、各球団のキャンプ中に選手の調整具合を確認した上でどこを守ってもらうかを伝え、準備させておけばいい。事前の通達がないいきなりの指示だと、普段は不動のレギュラーであるトップ選手ばかりなだけに戸惑いは大きい」(同前)
自信のなさは投手起用にも垣間見えた。2月25日に行なわれたソフトバンクとの強化試合初戦では、中継ぎに牧田和久(32、西武)や岡田俊哉(25、中日)を投げさせる予定だったところ、急遽、調子がよかったという理由で藤浪晋太郎(22、阪神)を登板させた。
「中継ぎ予定だった藤浪を先発に回すための試運転だったとされますが、そうした起用方針の転換について、スタッフも含めた情報伝達ができておらず、チーム内はコミュニケーション不和に陥っています」(同前)
采配そのものについても疑問の声があることは改めて説明するまでもないだろう。「3番・坂本、4番・筒香嘉智(25、DeNA)、5番・中田翔(27、日本ハム)」と中軸を固定したことについては、特に中田が不調だったことから強化試合のたびに批判がなされた。
ロス五輪(1984年)の日本代表経験がある野球評論家の広澤克実氏はこういう。
「長いペナントレースと違い、トーナメントでは1回の采配ミス、判断ミスが致命傷になります。常に批判の矢面に立たされる小久保監督の立場には同情しますが、明らかに調整不足の選手がいるのは事実。不安が解消されないままWBC開幕を迎えてしまいました」
※週刊ポスト2017年3月17日号