第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で世界一をもう一度、と望む野球ファンは少なくない。しかし、過去の日本代表戦を振り返ると、第2回WBCでMVPを獲った松坂大輔(36、ソフトバンク)や杉内俊哉(36、巨人)、渡辺俊介(40、現・新日鐵住金かずさマジック、当時ロッテ)など、力投するとその後のキャリアに深刻な影響を受ける投手が少なくない。
悪影響は投手に限らない。野手で過去に印象的だったのは、2008年8月の北京五輪で失点に絡む失策を連発したG.G.佐藤(38、当時西武)のケースだろう。
「G.G.佐藤の定位置はライトでしたが、あの時はチーム事情もあってレフトを守らされた。不慣れなポジションでプレッシャーもあったのでしょうが、日の丸を背負えば言い訳はできません。彼のように勝敗を左右するミスをすれば、その年のシーズンどころか選手生命にも影響が出てくる」(野球評論家の広澤克実氏)
チーム復帰後、G.G.佐藤は数試合で疲労骨折により登録抹消となり、残りのシーズンを棒に振った。
今回の大会でも慣れないポジションを守ることが可能性のある山田哲人(24、ヤクルト)や、シーズンと違って中継ぎとしてマウンドに送られる千賀滉大(24、ソフトバンク)が、“第2のG.G.佐藤”になってしまえば、一番悲しむのは日本プロ野球のファンである。
ケガもある。強化試合では内川聖一(34、ソフトバンク)が一塁の守備で走者と交錯し、右肩を打撲したが、第2回代表の村田修一(36、巨人)は、WBCで右足太もも裏の肉離れを発症。その年の開幕を二軍で迎え、前年の46本塁打、114打点の成績から、25本塁打、69打点と成績を落とした。
※週刊ポスト2017年3月17日号