昨年11月の米大統領選以降、日経平均株価は大きく上昇したが、今年に入ってからは一進一退の状況が続いている。その一方で、新興市場は好調だ。その背景に何があるのか、カブ知恵代表・藤井英敏氏が解説する。
* * *
「トランプ相場」の到来で日経平均株価は昨年11月の1万6000円台から約4000円もの上昇を見せ、強い値動きとなっている。
しかし、これはトランプ大統領の政策期待で上昇しているわけでなく、世界的な金利の正常化によるところが大きい。なかでも米利上げに伴うドル金利の上昇によってドル高・円安トレンドが進み、トランプ大統領がいくら為替相場に“口先介入”しようとも、長短金利の上昇がドルを下支えするため、この先「強いドル」が復活するのは必至の情勢だろう。
そうなると、年前半にも1ドル=125円くらいまでの円安が見込め、日経平均も2万1000円は手堅く、為替次第ではさらなる上積みも期待できる。
もちろん、就任前から世界を揺さぶってきたトランプ発言がリスクであることに変わりはないが、だからといって全体相場が下がり続けるわけではなく、下値メドはせいぜい26週移動平均線付近の1万8000円を切るくらいの水準と見ている。そう考えていくと、むしろトランプ発言は「買い場」を提供してくれることになり、そこで「押し目買い」というのが基本戦略となるだろう。
そうしたなか、注目したいのは新興市場の小型株である。11月以降の相場の主役は大型株だったが、ここにきて景色が変わりつつある。今年1月30日には日経ジャスダック平均株価が11年ぶりの高値をつけるなど上昇基調が続いている。同日には東証マザーズ指数も半年ぶりに1000ポイント台を回復し、ようやく底入れして上値余地が見込める状況にある。
新興市場を引き上げている最大の要因は、外国人投資家の参戦といえる。これまで新興市場は国内個人投資家の主戦場だったが、ここにきて海外機関投資家が日本の小型株でのアクティブ運用を開始。それらの資金流入によって相場環境が改善し、大型株よりも小型株の方が大きなパフォーマンスを期待できる状況にあるのだ。