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金正男氏暗殺の黒幕が正恩氏と断定されても罰せられない現実

真相究明はどこまで進むか Reuters/AFLO

 かつて金正日総書記の後継者と呼ばれたこともある金正男氏が暗殺された。指令を下したのは腹違いの弟・金正恩委員長とみられる。北は核開発に前のめり、南の韓国は大統領弾劾騒動と、ただでさえ朝鮮半島情勢が混乱するなか今回の暗殺事件は何をもたらすか。今から3年前、マレーシアで当の正男氏に直撃した経験を持ち、死の2週間前に正男氏から「カカオトーク」でメッセージを受け取ったジャーナリストの李策氏が半島情勢の未来を読む。

 * * *
 北朝鮮の過去と現在を知り、かつ世界を見渡しながらあの国の未来を語れる重要人物は、私の知る限り近年では2人いた。

 1人は、権力中枢において実力ナンバーワンと言われた張成沢元国防副委員長である。正男氏の後ろ盾とされていた叔父で、正恩氏によって処刑された。

 ただ実力はあったにせよ、「資格」については問題なしとは言えなかった。彼がその地位と権力を維持せんがために葬った人の数は、10人や20人では済まないだろう。

 もう1人が、正男氏である。彼には張氏のようなパワーはなかったが、権力のために誰かを手にかけたという噂も聞かない。彼の言葉に胡散臭いものを感じる人は少なかっただろう。

 いずれにせよ、2人とも正恩氏によって亡き者にされてしまった。北朝鮮には「唯一的領導体系」というものがある。ざっくり言うと、すべての物事を独裁者の考えに従って決めるルールだ。独裁者以外の人間は国の未来など考えてはならないのであり、そのような自由な思考を持つこと自体が死に値する罪なのである。

 それにしても愕然とさせられるのは、仮に正男氏殺害の黒幕が正恩氏であると断定されたとしても、正恩氏は誰からも罰せられないという現実だ。

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