コラム

米ドル/円相場は上値重い展開 当面118円台超えは困難

羊飼い氏が「トランプ相場」の米ドル/円を読む

 カリスマFXトレーダー・羊飼い氏が、外為市場の旬な話題をウォッチする連載「FXトレンドフォーキャスト」。米トランプ大統領の一挙手一投足に世界が注目しているが、米ドル/円相場はどう動くのか? 羊飼い氏が解説する。

 * * *
 昨年来の為替相場を振り返ると、11月のアメリカ大統領選直後の強烈な円安ドル高相場は、大きなサプライズだった。当時、大統領に就任するまで2か月以上もあったというのに、市場は期待ばかりをどんどん膨らませて米ドルを買い続けた。ところが、年が明けると雲行きが変わってきた。少しずつ現実があらわになり、新大統領への期待が剥落してきたからだ。

 そもそも、トランプ大統領の政策は必ずしもドル高につながるものではない。目玉であるインフラ投資や減税はドル高要因ではあるが、為替に関してはアメリカの産業に打撃となる自国通貨高を放置するとは考えにくい。むしろゆるやかなドル安に誘導し、円など他国通貨が安くなってくればそのたびに得意のトランプ節で牽制してくるだろう。

 もちろん、FRB(連邦準備制度理事会)による利上げはドル高要因ではあるが、市場が予想する3回程度の利上げ程度ではパワー不足だ。ドル高効果が出てくるにしても、年末近くまで時間がかかるだろう。

 結論としては、当面の米ドル/円相場は上値が重い展開が続くというのが羊飼いの相場観だ。1月の高値である118円台を超えてくるのは困難で、この水準で上値を抑えられる展開が続きそうだ。

 当面のレンジとしては、108円から117円程度の間で推移するのではないだろうか。相場は時に行き過ぎるのでこのレンジを突破することもあるだろうが、一時的な値動きに過ぎないだろう。

 羊飼いがこうした考えに傾いたのは、2月3日に発表された1月の米雇用統計直後の為替の値動きが大きく影響している。非農業部門雇用者数は大きく改善したのだが、失業率は悪化しており、良くも悪くもとれる内容だった。

 相場というのは「行きたい方向」を持っているもので、その方向に走りだすきっかけを待っている。強気と弱気、いずれにも解釈できる経済指標の結果は、その方向を判断するのに最適な指標だ。このときは、瞬間的な上昇は見せたもののすぐに下落に転じ、発表前から続いていたドル売りの流れを継続させただけだった。

【PROFILE】「羊飼いのFX(外国為替)ブログ」(http://fxforex.seesaa.net/)が人気のカリスマトレーダー。2001年からFXを開始。「羊飼い」の由来は、高金利の豪ドル(通称・羊)を買って優雅に暮らそうと考えたことから。著書に『超ど素人が極めるFX』など。

マネーポスト2017年春号

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