市販薬、処方薬をあわせると、その数1000種類にのぼると言われる目薬。たとえ正しい用法で注したとしても、目薬の保管方法を誤ると全てが台なしになる。彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長の平松類医師が語る。
「基本は冷暗所に保管することです。車中など高温になりやすい場所に置くと、有効成分が分解されてしまい効果が低くなってしまう」
ならば「冷蔵庫で保管すれば長持ちするのか」と思えば、そうではない。薬剤師の水八寿裕(みずやすひろ)氏によれば「それはあくまで、『キサラタン』などの緑内障に関する一部の薬のこと。それ以外の多くの目薬は、冷蔵庫で保管したからといって長持ちするわけではありません」。
パッケージに記される「使用期限」を誤解しているケースもある。前出・平松医師が解説する。
「使用期限は『封を開けなければ持つ日数』のことです。開けた瞬間から有効成分の劣化が始まるため、開封後は防腐剤の有無にかかわらず、1か月で使用はやめるようにしましょう」
平松医師らが行なった調査によれば、これまで説明してきた「正しい目薬の注し方」を教わった緑内障患者のグループは、そうでない緑内障患者のグループと比べて2倍程度の治療効果が見られたという。
正しく学んで正しく使用すれば、目薬から得られる恩恵は大きい。
※週刊ポスト2017年3月17日号