「空の華」である女性の客室乗務員(CA)が誕生したのは1951年。当時の制服はグレーの落ち着いた色に、ひざ下まである長めのスカートだった。それから65年あまりの間、制服は時代とともに多様に移り変わってきた。
JALを追う2番手の立場が長かったからか、ANAの歴代制服は「JALに比べてチャレンジングなデザインで、カラフル」(京都女子大学・成実弘至教授)だ。
4代目の冬服では茶と黄の組み合わせ、5代目ではオレンジのほかにブルー、ベージュの3色を揃え、6代目ではカジュアルなボックスプリーツのスカートといった具合だ。
その後はコンサバ路線に転換したが、10代目では英キャサリン妃やレディー・ガガが愛用するプラバル・グルンという外国人デザイナーを起用。「その人選に、新しいことをやろうという意図が表われている」(成実教授)という。
航空評論家の秀島一生氏によると、制服を一新するのは「新機材の導入や新路線の開設など、航空会社にとっては攻勢をかけるタイミングが多い」という。
奇しくもANAは、10代目導入前年の2014年に、国際線の座席キロ数(席数×飛行距離)でもJALを抜き、最大手の座についた。
歴代の制服を見ていくと、会社の方針以外にも、1970年代のミニやバブル期の肩パッドが入ったダブルのスーツなど、時代ごとの流行や世相が反映されている。
写真■時事通信フォト
※週刊ポスト2017年3月17日号