放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、テレビ業界のバレンタインとホワイトデーの状況をお伝えする。
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「え? あれが、そうだったんですか???」と長野美郷や高見侑里ら女性キャスターから総ツッコミを浴びていたのは『めざましどようび』(フジテレビ系)の佐野瑞樹アナウンサーである。
ホワイトデーを3日後に控え、バレンタインデーのお返しを出演者や女性のADさんらに大量に配りまくる“太っ腹”ぶりを小自慢した佐野アナだったが、セント・フォースのキャスターらには不評だったよう。その日最後の“めざましじゃんけん”でチョキを出した後も、真横に居る長野キャスターに「あれじゃダメだったの?」と聞き返していた。
15年、16年は土日だったが、今年は久しぶりの平日(火曜日)とあって、巷のバレンタインデーはおおいに盛り上がったと聞く。
そして次の火曜日はホワイトデー。うるう年でない限り、バレンタインデーと同じ曜日になることもあり、百貨店の有名チョコ売り場や、近年、“お返し”として喜ばれる有名パティシエ作のマカロン売り場などには男性たちが今年は長蛇の列を作っている。
民放のテレビ局の生ワイドやニュース番組では、必ずと言っていいほど百貨店の地下食料品売り場や大型商業施設の特設会場でのチョコ、洋菓子のトレンドが紹介されている。
今年もっとも見かけたのは、兵庫県三田市にテーマパークのような店舗をもつ、パティシエであり、ショコラティエでもある小山進氏の洋菓子店『パティシエ エス コヤマ』の「奈良漬プラリネ」だろう。文字通り、フリーズドライにした奈良漬が入ったチョコで、同品は、『マツコの知らない世界』(TBS系)でも紹介されていた。ちなみに『〜エス コヤマ』の広報担当は、「ホワイトデーにも」と猛プッシュしている。
ほかにも「日本初出店」とか、「期間限定」など情報がタップリ詰まったチョコや洋菓子に対しては視聴者の興味も高くはなる。
が、民放の生ワイドでこうした菓子類を紹介するときの多くは、Qシート(番組進行表)の項目の頭に“是”の字を○で囲ったマークが付く、いわゆる“マル是”だ。かつて『めざましテレビ』(フジテレビ系)がエンタメコーナーの一部に「マルゼの花道」というタイトルを付けていたように、これは“是非モノ”という意味。どんなに時間がタイトになってきても、絶対に翌日に飛ばしてはならないネタなのだ。
つまり、百貨店や大型商業施設は生ワイド番組のスポンサーであるからなのだが、店側にとってもバレンタインデーやホワイトデーの直前に売れ筋を生番組でオンエアしてもらうことが最大のPRとなるそうだ。
では、そのテレビ局内でのバレンタインデー、ホワイトデー事情はどうなのかというと、私が見る限り、一般企業や他のカタカナギョーカイに比べると、格段に地味なのである。
最大の理由は、一番組にスタッフが100人ぐらい居るのと、その大半が男性。一人に一つずつ外資系チョコをあげていたら軽く10万円コースになってしまう。
なので、たとえば某番組のベテランタイムキーパーさんは「私は長年『皆さんで、どうぞ』と、缶入りのチョコやクッキーをチーフプロデューサーに渡している」というし、某番組のデスク女性は「ウチの番組は、もう何年も前から禁止されています」と、そっけない。
聞けば、年長のタレントの号令で、「チョコレートなんて、いらん!」「お返しとかも面倒だから、やめよう」ということになったそうだ。
では、女性タレントたちはどうなのか。