ネット通販の拡大によって、宅配市場は急成長を遂げたが、現場のドライバーたちにとっては、ただ負担が増すばかりだった。アマゾンやユニクロへの潜入取材で話題を呼ぶジャーナリストの横田増生氏が、著書『仁義なき宅配』(小学館刊)で体感した現場の過酷さとは──。
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ヤマト運輸で10年以上セールスドライバーとして働く、40代の青木隼人氏(仮名)はこう話す。
「入社したころは、中元の7月と歳暮の12月の2か月が繁忙期で、閑散期とのメリハリがあったんですが、ここ数年は、毎月が繁忙期のような忙しさとなっています。さらに、7月、12月となると、毎日パンク寸前の状態で荷物を運んでいます。もう体力的に限界を感じており、今年いっぱいで転職も考えています」
首都圏のサテライト店で働く青木氏の2月中旬の持ち出し個数は、約180個。台車を押して配達しながら、70個強の集荷も行う。取扱個数の合計は約250個。朝8時前から働き始め、退勤するのは午後10時30分すぎだった。その間の休憩時間は15分。車を停めてお昼ご飯を食べる時間はない。宅急便センターで荷物を積み込みに行くときに、タバコを3本吸ったのが、休憩時間の15分だった。