高齢化社会が進行するなか、豊かな老後を送るために必要な充実した性生活だ。しかし製薬会社ファイザーが全国の成人男性7710人を対象に行なった調査(2009年)によると、60歳以上の8割以上が勃起時の硬さに「自信がない」と回答した。
勃起時に「完全に硬く、硬直している」と答えた60歳以上は11.3%しかおらず「挿入には十分硬いが、完全には硬くはない」が30.3%、「硬いが、挿入に十分なほどではない」が29.3%、「大きくなるが、硬くはない」が29.1%と続く。やはり多くの高齢者は下半身に何らかの不安を抱えているのだ。
では、一体どの程度の勃起力が「正常の範囲」であり、どこからが「ED」(勃起不全)なのだろうか。他人とはなかなか比べる機会がないだけに、その判断は難しい。新宿ウエストクリニックの渡辺玄一医師が解説する。
「EDは『満足な性行為を行なうのに十分な勃起を得られないか、または勃起を維持できない状態』と定義される。つまり、“まったく勃起しない”という人だけがEDではない。セックスの最中に勃起が持続しない『中折れ』などで性行為に支障がでたり、勃起はするが硬さが足りない『硬度不足』を自覚する人などもEDに当てはまる」
自分がEDであるかどうかは、医師も診断の目安にしている「国際勃起機能スコア」(IIEF5)とよばれるチェックリストで確認できる。
「5つの簡単な質問に答えることでEDの有無や程度を判断できます。25点満点中21点以下ならEDと診断され、7点以下は重症とされます」(新宿ライフクリニック院長の須田隆興医師)
質問の一つは「性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか?」といったもの。「性交を試みなかった」が「0点」で、「困難でなかった」が5点などとなっている。須田医師は、21点以下ならなるべく早い段階で医療機関を受診するべきだという。
「初期のEDのせいでセックスがうまくいかないと、精神的な原因によりEDが深刻化し、さらに勃ちにくくなるケースが多い。『国際勃起機能スコア』が軽症の人もED治療専門クリニックや泌尿器科を受診すべき。重症の人でも、適切な治療を行なえばEDが改善できるケースもあります」
※週刊ポスト2017年3月24・31日号