2017年のIPO(新規上場)第1号となったのは、シャノン(マザーズ3976)だが、今後、上場が予想される有力企業はどこか。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が、その投資妙味とともに解説する。
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2017年のIPO市場を展望すると、現状では、ユー・エス・ジェイ(テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」運営会社)と、東京地下鉄(東京メトロ運営会社)が大型IPOの東西の目玉となるだろう。
2009年にマザーズ上場廃止となったユー・エス・ジェイは、早ければ夏頃にも再上場となりそうだ。直近の業績開示はないが、2015年3月期決算では売上高が1385億円、営業利益が390億円だった。この2年で入場者数の増加などで売上高は増えており、営業利益も過去最高を更新しているとの観測もある。
ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの営業利益が1100億円、時価総額が2兆3000億円であることから考えると、ユー・エス・ジェイの時価総額は2年前の営業利益の20倍程度、8000億円以上になっても不思議ではない。実際にIPOとなれば、株主優待期待でも人気となりそうだ。
株主が政府(53.42%)と東京都(46.58%)という東京地下鉄は、東京五輪に向けての資金調達のために、10月頃の上場が予想される。前期の当期利益は576億円であり、PER(株価収益率)15倍計算でも時価総額8000億円超が見込めるだろう。こちらも株主優待・配当期待で人気化が予想される。
ユー・エス・ジェイ以外の再上場組としては、回転寿司チェーン「スシロー」を展開するスシローグローバルホールディングス(2009年東証2部上場廃止)、ワークスアプリケーションズ(2011年ジャスダック上場廃止)、マクロミル(2014年東証1部上場廃止)などが予想される。
新規でIPOが予想される企業では、まずSpiber(スパイバー)が注目される。「夢の繊維」といわれる人工クモ糸繊維を開発しており、スポーツメーカーのゴールドウインとの資本業務提携で実用化にも道筋をつけている。
3月21日にマザーズ上場予定の博多ラーメン「一風堂」を展開する力の源ホールディングスも、海外へのグローバル展開で成長が期待される銘柄だ。
モバイルスマートフォン関連のビジネスとしては、メルカリに注目。日米で展開するスマホを使ったフリーマーケットアプリは合計6000万ダウンロードを突破しており、上場の機は熟したと見ている。
また、クラウドサービス関連では、クラウド会計ソフトでトップシェアのfreee、クラウド名刺管理ソフトサービスのSansan、仕事を依頼したい企業と受注したい個人をつなぐクラウドソーシングサービスのランサーズなども有力視される。
こうした新規上場組は、再上場組と異なり、さらなる企業成長のための資金調達を目的とするIPOと考えられるので、株価上昇期待も大きいはずだ。今年もIPO銘柄には、たくさんの儲けのチャンスがあることは間違いない。