世界的な金融緩和と財政出動が組み合わさり、NYダウが史上最高値を更新するなど、主要各国で株高基調となっているが、その恩恵を受ける日本株はどこにあるのか。グローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏が、銘柄選びのポイントとともに、株価上昇期待の高い銘柄トップ3を紹介する。
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現状のような金融相場で、全体相場を上回る値動きを期待するのなら、やはり成長力や利益率が高い、ファンダメンタルズの優れた銘柄だろう。なかでもその企業だけにしかない強みを持つオンリーワン企業には注目しておきたいところだ。
特に、相場全体にバブルも視野に入れた上昇エネルギーがたまっているなか、未だ株価が上昇していない銘柄よりも、上場来高値や年初来高値を更新している銘柄に目を向けたい。好業績で財務内容のよい銘柄であることも必須条件だ。そこで株価が堅調なうえに「今期予想ROE(株主資本利益率)」と「今期予想増益率」が高い銘柄を厳選。事業内容なども精査して注目度順にトップ3を紹介しよう。
注目度1位は、電子書籍販売・配信のパイオニアであるパピレス(ジャスダック・3641)だ。1995年に富士通の社外ベンチャーとして「電子書店パピレス」で先行した同社は、2007年に電子書籍レンタル「Renta!」を開始。会員数は昨年2月の200万人から今年2月には300万人を突破するなど急拡大している。
提携出版社も小学館や講談社をはじめ600社以上に上り、年々増加。業績は最高益連続更新を見込み、絶好調。営業利益率は10%近くあり、有利子負債もゼロ。今期予想ROEも高水準で申し分ない。
日本の電子書籍市場は漫画が大きなシェアを占め、同社も漫画に強い。サイトを見るとわかるが、原価率が高い有名な漫画を取り揃えるというよりは、ユーザーの心を掴むコアな漫画を幅広く取り揃え、売上高の約3割という圧倒的な広告宣伝費によってユーザーを大きく増やし、販売を加速させるイメージだ。原価率が低く、利益率が高い点に魅力を感じる。株価も2年以内に3倍になってもおかしくないと見ている。
2位のダブルスタンダード(マザーズ・3925)は企業向けビッグデータの生成・提供が柱。ビッグデータをテーマとする企業は数あれど不要データの除去と補正・修正処理を施して高精度なデータに仕上げる「データクレンジング技術」に特化して伸びてきた企業はあまりなく、独走状態の様子。リクルートや大和リビングなどの大手企業が主要顧客となっており、業績は急拡大中。顧客の裾野拡大で今後も成長が期待できる。高成長、高利益率、好財務を兼ね備えており、株価も3年で2倍は十分に狙えるだろう。
3位のRS Technologies(東証1部・3445)は半導体製造に利用されるテスト用ウェハの再生製造企業。シェアは30%で世界トップ。極めて困難とされる銅の除去技術などを武器に業績を拡大。再生ウェハは顧客のコストダウンにつながることから需要は旺盛で、株価も3年で2倍は期待したいところだ。