春に旬を迎える「にんじん」。原産はアフガニスタン。また、古代ギリシャでは薬用として栽培されたと推察され、その頃のにんじんは根が枝分かれした刺激の強い味だったといわれる。円錐形のにんじんが誕生したのは10世紀頃。トルコからヨーロッパへと広がったとされる。江戸時代後期には日本にも伝わり、明治時代以降に普及した。京都の「金時にんじん」や沖縄の「島にんじん」など東洋系にんじんもある。
栄養面で特筆すべきは、何と言ってもカロテノイド。カロテノイドはにんじんから発見されただけに、中サイズのにんじん半分で1日の摂取量が軽くまかなえるほど、屈指の含有量を誇る。ほかにもにんじんに含まれる因子が白血球を増やして免疫力を高めること、がんのリスクを低下させることが実証されており、医学界でもにんじんのがん予防効果は共通認識となっている。
家庭料理研究家の松田美智子さんはこう話す。
「にんじんのβ-カロテンは皮の下にもっとも多く含まれていますから、加熱する場合は、皮もよく洗ってそのまま使いたいもの。ラペやサラダなど生でいただく場合も、ごくごく薄くむいて無駄なく使い切りましょう」
◆にんじんの【準備】
春のにんじんは皮もやわらかくみずみずしいが、ラペにする際は食感がもたつくため、ごく薄く皮をむいてから使う。むいた皮は捨てずに、ポタージュやみそ汁、浅漬け、きんぴらなどに。
ピーラーで薄く引いたにんじんは、三温糖をまぶし、5分置いて水気を引き出すと、自然な甘みがにんじんに定着して美味。
◆松田流キャロットラペのレシピ
【1】にんじん(中)2本は【準備】を参照して皮をむいてピーラーで薄く引き、三温糖大さじ1をまぶして5分置く。水気が出たら塩小さじ1/2を加えてさらに水気を引き出し、ほんのりと塩気をつける。
【2】オリーブオイル大さじ2、ナンプラー・白ワインビネガー各大さじ1、塩・白こしょう少量を小さなボウルに合わせる。
【3】 【1】の水気を軽く絞って集めておき、そこに【2】を加える。にんじんを加えて15分漬け込み、白すりごま大さじ2をまぶす。2~3時間冷蔵庫で休ませたあたりが食べごろ。
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号