国内

小沢一郎氏の典範改正発言 習近平天皇会見の罪滅ぼしか

自民党・衆院議員の石破茂氏

 天皇の生前退位について、世論は「恒久制度化」を強く望んでいるが、政府、自民党は相変わらず「一代限りの特例法」で臨もうとしている。この乖離はなぜ起きているのか。『天皇論 平成29年』を上梓したばかりの漫画家・小林よしのり氏と自民党内で「皇室典範の改正」を主張する石破茂氏が議論した。

石破:私の学生時代は“天皇はロボットのようにいるだけでよい。意思は不要”という憲法学者、宮澤俊義氏の学説が憲法学の主流でした。それと同じことを、「天皇は日本国憲法を超越した存在だ」と主張する方が口にするのは、私には理解できません。陛下は権力を持たない権威だからこそ、国民の結節点になれる。その象徴性を「戦後憲法の産物」とするのは間違っています。

小林:そんなに戦後憲法がダメだというなら、皇室典範も明治憲法時代と同じように皇室にお返しすればいい。あれはもともと皇室の家法なんだから。戦後憲法を超越しているといいながら、その天皇の地位を「おれたち権力者が決める」というのは矛盾です。そんなもの、一時的に権力を握っているだけの人間たちが決めていいはずがない。

石破:それがまさに「天皇ロボット説」に基づく考え方でしょうね。鳩山由紀夫政権時代、来日した中国の習近平・国家副主席(当時)が陛下との会見を申し入れたものの、いわゆる「30日ルール」に抵触したことがありました(※注)。天皇にとってはどんな大国も小国も平等なので、中国だけ特別扱いはできない。だから宮内庁が「ルールどおりやってください」と伝えたところ、政権与党の小沢一郎幹事長(当時)は「何事だ!」と激怒されたとか。まあ、今回は陛下のご意思を尊重されるようなので(小沢一郎・自由党代表は皇室典範の改正で対処すべきと発言している)、きっとお考えが変わったのでしょうが。

【※注/2009年11月、習近平・国家副主席(当時)は12月の訪日に際し、天皇との会見を申し入れた。しかし天皇との会見については1か月前までに申請する慣例(30日ルール)があり、すでに1か月を切っていたため、宮内庁は応じられないと返答した。ところが、小沢一郎・民主党幹事長(当時)の強い意向が働き、慣例を破って会見は実現した。会見の4日前、羽毛田宮内庁長官(当時)は記者会見で、「政治的利用じゃないかといわれれば、そうかなという気もする」「心苦しい思いで陛下にお願いした。こういったことは二度とあってはほしくないというのが私の切なる願いだ」と異例の“抗議”を表明した】

小林:あのときの罪滅ぼしなんじゃないかな(笑)。

関連記事

トピックス

単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
大の里の調子がイマイチ上がってこない(時事通信フォト)
《史上最速綱取りに挑む大関・大の里》序盤の難敵は“同じミレニアム世代”の叩き上げ3世力士・王鵬「大の里へのライバル心は半端ではない」の声
週刊ポスト
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎ストーカー殺人事件》「テーブルに10万円置いていきます」白井秀征容疑者を育んだ“いびつな親子関係”と目撃された“異様な執着心”「バイト先の男性客にもヤキモチ」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《田中圭との不倫疑惑》永野芽郁のCMが「JCB」公式サイトから姿を消した! スポンサーが懸念する“信頼性への影響”
NEWSポストセブン
騒然とする改札付近と逮捕された戸田佳孝容疑者(時事通信)
《凄惨な現場写真》「電車ドア前から階段まで血溜まりが…」「ホームには中華包丁」東大前切り付け事件の“緊迫の現場”を目撃者が証言
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
食物繊維を生かし、健全な腸内環境を保つためには、“とある菌”の存在が必要不可欠であることが明らかになった──
アボカド、ゴボウ、キウイと「◯◯」 “腸活博士”に話を聞いた記者がどっさり買い込んだ理由は…?《食物繊維摂取基準が上がった深いワケ》
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン