今年7月に行なわれる東京都議選で小池新党の起こす旋風は、どれほどの破壊力を秘めているのか、注目選挙区を本誌・週刊ポストが予測してみた。
大田区は石原慎太郎・元都知事の衆院議員時代の地盤で、現在は3男の宏高氏が小選挙区(東京3区)で当選している。
前回都議選で、自民党は石原氏の元秘書・鈴木晶雅氏らが当選して3議席の大勝だったが、今回は大逆風。小池新党が2~3議席確保する勢いで、自民党は1議席に後退しそうだ。
現職3人が1議席をめぐってサバイバルを展開している自民党では、生き残りのために“裏切り”もある。
都議会では豊洲移転問題で石原氏の百条委員会への証人喚問が決まり、石原氏は小池批判の反撃に出た。元秘書の鈴木氏は“親分”の支援のために小池批判を強めると思われていたが、なんと、ツイッターに、「小池知事とともに都政を前に進める」と書き込んだ。
同僚都議からは、「いまのムードでは小池批判をすれば選挙で勝てないと計算して、石原さんから小池に寝返ったんだろう。生き残るためには仕方がないよ」と同情を集めている。
続いては、有権者の「1票」でこんなことも起きるのか、と驚くのが世田谷区。定数8もあるのに、自民党は議席ゼロで全滅の危険がある。それというのも、世田谷区は無党派層が多く、2009年都議選は民主党が3議席、2013年は逆に自民党が3議席を占めるなど選挙のたびに「風」で議席が大きく揺れ動いてきた。
今回は小池旋風で小池新党・都民ファーストの会が大きく票を伸ばすのは確実だ。都知事選での小池氏の得票率(44.5%)から見ると、小池新党は3議席を超えて最大4議席が視野に入る。
候補者を1人に絞った公明党は当確、毎回1議席を獲得する地域政党の生活ネット、固い基礎票がある共産党、世田谷に強い民進党も当選圏内に1議席ずつ滑り込みそうだ。残る1議席を小池新党の4位候補と自民党が争う展開が予想されるが、自民党は逆風の中で現職3人が乱立しているだけに、「小池新党に基礎票を大きく奪われると共倒れで全滅という事態になりかねない」(選挙コンサルタント)と“まさか”がありうる。
これも国政選挙に置き換えてみた場合、参院東京選挙区(定数6)で自民党全滅となれば、これは「政変」である。
※週刊ポスト2017年3月24・31日号