プロインタビュアーでタレント本収集家でもある吉田豪氏の本棚には、幅広い年代のタレント本の“名著”が並んでいる。そのなかから、吉田氏が10冊選ぶ名著のひとつとして挙げたのが、公私ともにパートナーだった小室哲哉による曲の大ヒットによって、1990年代の女子高生のカリスマとして人気を博した華原朋美の告白本『未来を信じて』(2000年・ワニブックス刊)。内容はもちろん、グラビアなど細部に読むべきポイントが多かったという。
* * *
華原さんが芸能活動休止から復帰を目指していた頃の本だったのですが、掲載された写真が“無修正”だったことに驚きました。二重顎で腕のシミがそのままで目もトロンとしていて……多くの写真集を出しているワニブックスがよく許しましたよね(笑)。
興味深いのは交際していた小室哲哉さんとの別れの過程。だんだん提供される曲が売れ線ではなくアバンギャルドなものになっていき異変を感じるんです。そして、ある日愛の巣だったマンションに帰ると、荷物も家具も全部捨てられていて、彼女は絶叫して気絶……この辺の描写は生々しいですよ。
僕が一番好きなのは、仕事がなくなった時に彼女が取った行動。〈芸能界で最も実力を持っていらっしゃるという方にご相談に行くことにしたのです〉とあり、手紙を持って会社の前で待ち伏せするのですが、それが誰なのかとか、そんな行動して意味あるのかとか、ツッコミどころが満載で(笑)。
※週刊ポスト2017年3月24・31日号