ドナルド・トランプ米大統領の誕生後も、米国の株式市場は過去最高値を更新しているが、それは日本株にどのような影響を及ぼすのか。海外金融機関の動向について詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏が解説する。
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足元では、米トランプ政権の正式発足後も、いわゆるハネムーン相場が続いている。2月に入っても、NYダウ(ダウ工業株30種)、ハイテク株中心のナスダック、S&P総合500種の主要3指数が、連日のように史上最高値を更新している。
米国株式市場は好調だが、実は出来高はあまり増えておらず、買い手となっている投資家にも偏りが見られる。おもな買い手は欧州勢である。欧州勢は、昨年からEU各国の政治状況の右傾化に懸念を抱いている。そこで、欧州市場から米国市場へ資金を移す動きが続いているのだ。
もし、欧州の株式市場が大きく下げるようであれば、利益が出ている米国株を処分する可能性が高い。これも3月以降の米国株の上値を抑える要因となるだろう。
次に、日本株について。昨年9月、日経平均株価は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標が、総合的にみると、過去10年間で最低の水準に落ち込んでいた。そのとき、大きな買いを入れてきたのが、英系の世界最大級のコントラリアン(逆張り)投資家である。総額で6000億円程度を日本株に投資したと見られ、その後の日経平均株価上昇の原動力となった。その外国人投資家は、過去のITバブル崩壊やリーマン・ショックが起きたとき、歴史的な割安水準となった日本株に逆張りをして、ことごとく成功した実績がある。
その運用責任者は、直接インタビューで、「日本株の割安度はすでに薄れつつあり、日経平均株価が2万400円になると完全になくなる」と答えている。裏を返せば、2万400円に近づく段階で、処分売りを出すということだろう。念頭に置かれたい。