女性の年金は増えない――そう思ってはいないだろうか。だが、増やす方法は4つある。
一つ目は、2017年1月から専業主婦も加入できるようになった「個人型確定拠出年金(iDeCo)」。毎月の掛け金の上限額は2万3000円だ。この制度は「税金がかからない」ということが大きなメリット。たとえば、年収127万円のパート主婦が毎月2万円を積み立てると、所得税と住民税合わせて、約3万6000円が戻ってくる。“年間利回り”で考えると、なんと15%だ。
iDeCoに入るには、まず口座を開く銀行や証券会社を選ぶこと。各社の違いは「管理手数料」で、年間2000~8000円程度と差は大きい。運用先は大きく分けて、預金や保険などの「元本確保型」と、株や債券などの「投資信託」の2つがある。
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの年金博士こと北村庄吾さんはこう語る。
「40代以下で積み立てる期間が長い人は、ハイリスク・ハイリターンの投資信託を選んでもいい。株価が上昇すれば数%の利益が出ます。50代になって“年金原資を減らしたくない”と慎重になるなら、元本確保型に切り替えればいいでしょう」
◆後納で年2万円プラス
保険料を払った期間が長いほど、たくさん受け取れるのが公的年金の仕組み。国民年金の女性の平均加入期間は28年ほどで、男性より5年以上短い。
「その状況は裏を返せば、女性には“今から年金を増やすチャンスがたくさんある”ということ。実は、2018年9月までの期間限定で、過去5年分をさかのぼって保険料を後納できる制度があるんです」(北村さん)
1年分の保険料約18万円を後納すると年金額は2万円アップ。9年長生きすれば元が取れる。
◆60才を超えてからも加入できる
還暦を過ぎたら年金はもう増やせない─そう諦めてはいないだろうか。60才を超えても、65才までは国民年金に加入できる「任意加入制度」がある(加入期間の上限は40年)。
女性が平均寿命の88才まで生きたとすると、1年間の任意加入で28万円もお得。5年間なら140万円プラスになる。2013年4月から、国民年金に任意加入すると、さらに「国民年金基金」に加入できるようになったこともうれしい。
◆パート主婦も厚生年金に入れる
国民年金の平均受給額は月5万5000円。一方で、厚生年金は14万6000円と、その差は9万円以上。
パート主婦が厚生年金に加入するハードルは高かったが、昨年10月から緩和。以前は、正社員の「4分の3以上」働くことが加入条件で、もし正社員が週40時間働く会社なら、「週30時間以上」働く必要があった。
「現在は時給1000円のパート主婦なら、週20時間以上、つまり週5日勤務で1日4時間以上働けばOKです」(北村さん)
もし月10万円のパートを1年続けたら年金額は月2000円、5年続けたら月1万1000円も増える計算だ。
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号