IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営していた医療系情報サイト「WELQ」(ウェルク)によって明るみに出た「キュレーションサイト」問題。他のサイトの画像や文章を剽窃して記事を大量生産し、収益化していたことが明るみに出て、大きな波紋を呼んだ。
現在、「MERY」を筆頭とする同社が運営するキュレーションサイトはすべて公開停止となっている状況だが、昨年12月に発足した第三者委員会による調査が終了したことを受けて、3月13日に「第三者委員会調査報告書」が公開された。これによると、74万7643件の画像で正当な権限なく画像の複製を行った複製権侵害の疑いがあるという。
276ページに及ぶこの報告書を、ネットメディア運営に関わっていた人々はこれをどう読んだのか。過去にキュレーションサイトを運営していた男性・A氏(29歳)は、こう語る。
「背筋が凍る思いで報告書を読み進めました。DeNAが運営していたメディアとは比較になりませんが、自分自身、小規模なキュレーションサイトでお金を稼いでいました。今回の“WELQ騒動”をきっかけにサイトの公開を中止していますが、運営をはじめた当初は“簡単に稼げるビジネス”くらいにしか思っていなかった。
報告書にもあったように、DeNA側もキュレーション事業に参入する上で、そもそも『キュレーションとは何か?』をしっかりと議論していなかったのでしょう。おそらく、前例として成功している『NAVERまとめ』を参考にした程度ではないか。ネットにある一次情報の価値についての共通理解がなかったことと、“グレーゾーンはすべて白”というご都合主義が問題の本質ではないかと思う」(A氏)