政治不信と共に深刻なのが、どん底の韓国経済。外交で四面楚歌となった今、国民は不安を隠しきれない。ソウルで韓国国民の本音を探った。
「韓国はこの20年間で2度の国家破綻の危機を経験しているが、この期に及んで日韓通貨スワップ交渉と慰安婦問題合意の破棄を同次元で語っているところに危うさを感じる。いざというときに頼れるのが、米中ではなく日本だということを肝に銘じるべきだ」(30代男性・大学生)
「基幹産業の鉄鋼、造船、海運だけでなく、サムスンや現代自動車が傾いたらこの国は確実に終わる。2~3年前、『2020年には韓国の1人当たりGDPが日本と肩を並べる』などと有頂天になっていたことが恥ずかしい」(40代男性・公務員)
「韓国にはイノベーションという概念がなく、日本とは違って新しいモノを生み出す力がない。製造業でも、安価な労働力を提供する中国や新興国には勝てなくなっている」(60代男性・無職)
さらに、日韓双方の社会と国民性について、両国の違いを知る日本留学経験者、元日本駐在員に話を聞いた。
「日本は市民意識が成熟している印象がある。東北や熊本の大地震で被災した人たちが冷静さを失わず、避難所で助け合っている姿は韓国でも話題になった。昨年11月の福島県沖地震の際、南米にいた安倍首相が現地から迅速な指示を出していたことにも驚かされた。セウォル号事故発生後、7時間も行方不明だった朴槿恵とは違う」(20代女性・大学生)
「日本は街並みもきれいでとにかく清潔。都市部だけでなく、田舎町でも道路や歩道がきちんと整備されている。韓国に戻ってから、わが国のインフラや街造りがいかに雑か思い知らされた」(30代男性・会社員)
「日本は交通機関や商業ビルでもバリアフリー化が進んでいて、高齢者や障害者が暮らしやすい国だと思った。韓国は社会的弱者への配慮が欠けている。また、日本人は他者への配慮、責任感において、全体的に高い道徳心を備えている人が多いと感じた」(50代女性・日本語教師)
※SAPIO2017年4月号