ワイドショーは連日「森友劇場」を流し、テレビクルーは籠池泰典・理事長を追いかけ、自宅前には報道陣がひしめき合う。
しかし、ワイドショーが「スクープ映像」「スクープ資料」として流したネタのほとんどが独自に入手したものではない。
森友学園が経営する幼稚園の園児による「安倍ガンバレ」映像も、鴻池事務所から流出した籠池氏の陳情記録も、昭恵夫人から森友学園への100万円寄付の傍証とされた郵便局の振込用紙まで、1人のノンフィクション作家が入手し、提供したものだ。
ワイドショーの「森友劇場」を支えたその人物は、『日本会議の研究』の著書で知られる菅野完(すがのたもつ)氏である。
「僕は2月からこの問題を取材していますが、仕事をしている時間の4分の3はマスコミ対応なんです。大手メディアの姿勢には疑問も多々ありました」
菅野氏はそう前置きして語る。
「僕はフリーランスとしてやっているのに、大手マスコミからは取材で得たものの無償提供を要求されたり、取材する側として最低限のモラルもないような無理な企画の協力を頼まれたりもしました。詳しくは言いませんが、あるテレビ局からは“カメラの前でもっと籠池氏をイジってほしい”というような要求をされて、さすがにやめさせました」
ところが、森友劇場の盛り上がりに危機感を持った官邸や自民党は、仕掛け人である菅野氏についてメディア側にネガティブな情報を流し始めた。すると官邸の顔をうかがうテレビは、それまでさんざん世話になった菅野氏に掌を返した。