コラム

投信の積立投資、赤字のときでも継続が成功の秘訣

投資信託の積み立て投資の資金が増加傾向

 投資信託市場では積み立て投資の資金が増加しているという。積み立て投資の注意点について楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。

 * * *
 足元の国内投資信託市場は資金流出が続いている。マーケットへの流入額から流出額を差し引いた純流入額をみると、2016年11月に24か月ぶりに純資金流出に転じた後、2017年1月まで3か月連続の流出が続いている。特に、12月は6043億円とかなりの規模の流出となった。

 しかし、この資金流出はそれほど深刻にとらえる必要はないだろう。昨年の米大統領選挙終了後のいわゆるトランプ相場によって、内外の株式市場が大幅に上昇したが、資金流出の主因は、これを受けた個人投資家による利益確定売りと考えられるからだ。ネガティブな要因ではない。

 しかも、売却した資金は金融市場からは流出しておらず、証券会社のMRF(マネーリザーブドファンド)に滞留している。きっかけがあれば、再び投資信託市場に戻ってくる可能性が高い。

 実は、すでにその片鱗はうかがえる。昨年、分配金の相次ぐ引き下げで、一時、人気が低調となった毎月分配型投信の売れ行きが復調しつつある。また、「AI」「フィンテック」「ビッグデータ」などをテーマとしたテーマ型ファンドがまずまずの売れ行きを示している。さらに、ネット証券を中心として、投資信託の積み立て投資の資金が増加してきているのだ。

 投資信託に限らず、金融商品の積み立て投資の有効性についてはさまざまな形で紹介されてきた。毎月一定額を購入することで、購入金額の平準化が図られるため、価格変動リスクを抑制できる点が大きなメリットである。加えて、投資金額は1000円程度の少額から可能で、投資家があらかじめ決めておいた日に買い付けるため、投資のタイミングで悩む必要もない、といったメリットがある。
 
 すでに個人投資家にも広く浸透してきているようで、前述したように、足元では投資信託の積み立て投資の口座数および投資金額は増加しつつある。

 ただし、問題点もある。既存の積み立て投資の口座をみると、数か月から半年くらいで解約する人が結構いるのだ。おそらく、その間、利益が出なかったことが考えられるが、それでは非常にもったいない。積み立て投資は、長期間行なうことではじめてメリットが発揮されるからだ。

 スタートするタイミングにも左右されるが、少なくとも1年、できれば2年くらいは利益が出ないものと「覚悟」して、始めて欲しい。よくいわれるように、積み立てしていることを忘れるくらいがちょうどいいだろう。

 私も以前から国内株式ファンドの積み立て投資をやっているが、リーマン・ショックなどもあって、基準価額が購入単価を上回る黒字の状態になるまで3年以上かかった。だが、それ以降はずっと黒字が続いている。投資期間が長くなればなるほど、今度は赤字にはなりにくくなるのだ。赤字のときでも辛抱して継続することが、積み立て投資成功の秘訣なのである。

マネーポスト2017年春号

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン