少子化や遠距離などさまざまな事情で無縁化した数多の墓が社会問題になっている中、改葬先として近年、急速に数を増やし、大きな注目を集める室内墓。一体どんなものなのか、「新宿南口徒歩3分」のキャッチフレーズで知られる新宿瑠璃光院白蓮華堂を訪ねたノンフィクションライターの井上理津子さんがレポートする。
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自動搬送式の室内墓が誕生して、十余年になる。利用する側のメリットは、
・花、線香を持参せずお参りできる
・天候に左右されずお参りできる
・墓石の掃除が不要
・遺骨を清潔に保つことができる
といったところだろう。
新宿瑠璃光院は、お寺自体がお墓の販売を手がけているが、自動搬送式の室内墓は、業者が販売代行するところが大多数だ。現在、都内4か所(赤坂、新宿、小石川、経堂)および川崎、名古屋の自動搬送式室内墓の販売を手がける株式会社はせがわ(本社=東京都文京区)は販売代行会社の最大手。2009年から参入し、昨年は約2000基(厨子1つを1基と数える)を販売した。
「この10年でお求めになるかたの意識が大きく変わりました。10年前は『外墓か室内墓か』という選択肢がある中で室内墓を見学に来られましたが、最近は外墓の選択肢を持たず、室内墓だけを比較して決められます」
こう話すのは、同社執行役員・墓苑開発部長の新貝三四郎さんだ。
「自動搬送式の室内墓がタブーでない時代になった」と見る。かつて「立体駐車場のようだ」「遺骨を大切にしていない」などとタブー視されたのが遠い昔のようだと言う。
同社の購入者アンケートによると、購入の決め手ベスト3は「近くて便利」「価格が安い」「手軽」だそうだ。
便利さと手軽さは個別の要件や感覚に依るだろうが、「価格」については広くあてはまる。外墓の購入には、永代使用料に加えて墓石の代金が必要だが、自動搬送式は墓石代が不要。永代使用料と墓石価格はおおよそ同額だから、自動搬送式のお墓は外墓の概ね「半額」だ。
先に紹介した新宿瑠璃光院は高価格だが、他の物件は100万円以下が大半である。例を挙げると、はせがわが販売代行する「ゆいの御廟」(経堂)は80万円、「小石川墓陵」(小石川)は90万円。新規に求める人も、改葬する人も価格には敏感だ。
新貝さんは、こうも言う。