カリスマFXトレーダー・羊飼い氏が、外為市場の旬な話題をウォッチする連載「FXトレンドフォーキャスト」。昨年11月の米大統領選直後は、米ドル/円も強烈な円安ドル高相場になったが、年が明けると雲行きは変わり上値の重い展開が続いている。このような局面ではどのような投資戦略を立てればよいのか? 羊飼い氏が解説する。
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じりじり下がる相場は、投資家にとっては最も手がけにくい相場だ。トランプ政権の1年目は難しい相場になりそうだが、策がないわけではない。羊飼いはこうした局面では、スキャルピング(わずかな利幅を狙って短時間で売買を繰り返す手法)で下落相場の反発を狙ったロング(買いから入る取引)戦略をとることが多い。
下落が始まったとき、投資家はこの後さらに下を目指すか、あるいは反発に賭けるか、という判断に迫られる。大局的にはさらに下落したとしても、スキャルピングのような数分単位の動きで見れば、いったんはわずかに反発する可能性のほうが高い。下落相場で一定の値幅が出れば必ず利益確定の買い戻しが入るものであり、わずかな反発をはさみながら下落していくのが一般的だからだ。
下落相場でトレンドに逆行する買いポジションを取るのは危険であり、素直にショート(売りから入る取引)するべきだと考える人もいるだろう。もちろん、それも正解だ。羊飼いも、スキャルピングで反発を狙ったロングを繰り返しながらも、下落が再開したら売りで入り直すことは多い。それでも、儲けやすいのはこの小さな反発狙いの取引だと感じている。
たとえば下落局面で10万通貨をショートして3万円の利益を狙うには30銭の変動が必要になり、ポジションを持っている時間も長くなりリスクは上がる。それよりも、反発を狙って100万通貨をロングし、3銭で利益確定すればわずか数分で3万円の利益が出せる。
資金は必要になるがこちらのほうが狙い通りに相場が動く可能性が高いうえ、短時間で決着できる。トレンドに逆らったポジションを持つ以上、相場から離れることなく監視している必要があるが、数時間相場を見ている余裕があるなら複数回繰り返すことも可能だ。 この戦略は、平均足チャートとMACDを併用するとわかりやすく、初心者にも手がけやすいので参考にしてほしい。
もうひとつ、有効な戦略がある。下落時に112.00円といったキリのよい節目にぶつかると、1回目はかなり高い確率で反発するのでそこを狙ってロングすると利益がとりやすい。こうした大きな節目では20銭ほどの反発は期待できるが、無理せず3銭程度で確定しておくと、手堅い取引となる。
こうした節目の近辺では、小数点以下「00」を挟んで何時間も一定の値幅を上下するもみあい相場を続けることも多い。レンジの下限で買って上限で売る取引を繰り返す戦略は、値幅はわずかだが繰り返すと利益を重ねやすい取引だ。しかも、レンジを抜けて新しいトレンドが始まったときにもそれがわかりやすいので、失敗しても傷が浅いうちに損切りできる。
ロングとショートを一度に手がけるのはそう簡単ではないが、頭の切り替えに自信があるなら、スキャルピングで小さな反発を取りながら、下落相場に乗ったドル売りポジションを数日持って、値幅を狙うのもいいだろう。こちらは相場を見ていない間も保有を続けるので、ポジション量は小さくしておくのが肝要だ。
【PROFILE】「羊飼いのFX(外国為替)ブログ」(http://fxforex.seesaa.net/)が人気のカリスマトレーダー。2001年からFXを開始。「羊飼い」の由来は、高金利の豪ドル(通称・羊)を買って優雅に暮らそうと考えたことから。著書に『超ど素人が極めるFX』など。