1960年代、中性的な美貌で日本中の女性を熱狂させたジュリーも、今や高齢者。白髪が頭を覆い、ポッコリとお腹も出てきた。それでも、ファンは彼の歌を求めてやまない。当たり前の日常を一変させた大震災を経て、メッセージソングに命を賭けるジュリーの咆哮が、私たちの心を強く打つ。
3月11日、沢田研二(68才)が新アルバムを発売した。タイトルは『ISONOMIA』。反原発を訴える歌だ。リスクは承知の上で「言いたいことを言う」という姿勢を貫き、吠え続けるジュリーを最も近くで支えているのが、妻の田中裕子(61才)である。
横浜市内の自宅周辺では、夫婦の姿がよく見られていた。
「朝おふたりで散歩されたり、ジュリーさんが外出する時は必ず田中さんがお見送りに出てきます。
逆に田中さんが出かける時も、ジュリーさんが玄関まで出てきてね。本当に仲良し。ふたりで中華街に行くことも多いです。お子さんがいないからか、夫婦の時間が多いんですね。
ジュリーさんは家事も率先して手伝う方で、ゴミ出しは彼の仕事です。太っちゃったから、彼だと気づかない人もいるけど(笑い)」(近隣住人)
行きつけのそば店でも、夫婦はいつも一緒。
「ジュリーは、まぁよく飲むんですわ。ホタルイカの干物をつまみに日本酒をきゅーっと。田中さんはそんなジュリーを隣でニコニコと見ている。円満夫婦だなぁと感心します」(常連客)
1989年に沢田と結婚して以降、田中の仕事は途切れていない。映画『ホタル』や『いつか読書する日』など名作に恵まれ、2015年にはNHK朝ドラ『まれ』で4回目の朝ドラ出演を果たしている。
多忙な日常の中で、田中もまたジュリーに救われていたのかもしれない。過去、彼女はインタビューでこう話していた。
《結婚して良かったと思いますね。独身でいるのと、両方やってみられたら一番いいんでしょうが(笑)。多分結婚しないでこういう仕事をしていたらしんどかったと思います。背負う荷物も、一人だと大変ですが、結構助けてもらっていると思います》
2月末、本誌は自宅からふらりと出てきたジュリーに話を聞いた。
──正月ライブが今年も大盛況でしたね。
「んああ?」
──原発問題も精力的に発言されています。
「全然、なんのこっちゃわからねえ」
──メディアには今後も出ないのですか?
「どうでもいいよ。もういいだろ」
迎えた3月11日。かつて列島が揺れた2時46分の少し前、ジュリーはだぼだぼのデニムにジャケット、お腹の目立つタートルネックを着て、ひとり車で外出した。
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号