箱根駅伝3連覇を果たした青学大の“足下”を揺るがす事態が起きている。「最強の靴職人」三村仁司氏(68)が、青学大のスポンサーであるアディダスジャパンとの専属契約を3月末で解消するのだ。
三村氏は1966年、オニツカ(現・アシックス)に入社。1974年から40年以上にわたり、競技者向けのオーダーメイドシューズを製作してきた。高橋尚子や野口みずきも三村氏の靴で五輪の金メダル(マラソン)を獲得している。
独立した10年に靴工房「ミムラボ」を設立してアディダス専属になり、2012年にアディダスが青学大とパートナー契約を結ぶと部員の靴も担当。三村氏は選手の足型をとってフォームの癖などを見抜き、それを補う靴を作る“名工”だ。三村氏の靴が使われるようになってから、青学大では故障が減り、選手層に厚みが増した。三村氏の“離脱”は、一大事なのだ。
三村氏はかねてからアディダスが独自開発し大ブームとなっているクッション材「ブースト」について「着地の際にわずかなブレを生じさせ、選手の疲労につながる」と疑義を唱えてきた。方針の違いが決定的になったのか、三村氏に聞いた。
「ブーストはネックの1つですが、それだけではありません。話し合ってきたが、向こうも方針がある。選手が戸惑わないよう3月末で区切りにしました」
つまり青学大チームもアディダスを通じて三村氏のシューズの提供を受けられなくなるということになるが、三村氏は「それは向こう(青学大)が決めること」とあっさり。
青学大に見解を尋ねたが、回答は得られなかった。