1987年の開幕戦でドラマが生まれた
まもなくプロ野球のペナントレースの火ぶたが切って落とされる。「143分の1」とは言いながら、特別の意味を持つのが開幕投手。「12年連続開幕投手」というプロ野球記録を持つのが“ミスター・サブマリン”と呼ばれた山田久志だが、1987年の開幕戦はドラマを生んだ。
1975~1986年、阪急で12年連続開幕投手を務めた山田の記録は1987年に途切れた。
「山田は毎年スロー調整をしていたが、この年は特に本調子にほど遠かった。心配顔の上田利治監督に、山田が社交辞令で“監督の思うようにしてください”と告げたところ、オープン戦絶好調の佐藤義則が開幕投手に指名された」(スポーツ紙記者)という。
試合後、上田監督は「佐藤は山田の偉大さがわかっただろう」とコメント。山田は17年連続2ケタ勝利も途切れ、翌年に現役を引退した。
【試合データ】
1987年4月10日(西宮球場)
阪急6-6南海(9回時間切れ引き分け)
■取材・文/鵜飼克郎
※週刊ポスト2017年4月7日号